介護用ロボットは、人間そっくりなほうがいい?

 

ロボット」と聞いて、みなさんはどのような姿のロボットを思い浮かべるでしょうか? 産業用ロボットによくある、人間の腕の形を模しただけの無機質なロボットより、鉄腕アトムのような人間に近い外見のロボットを想像する人は多いかもしれません。日本では特に、諸外国と比較して、人間に近い見た目のロボットの開発が進んできたという話があります。ホンダのASIMOやソフトバンクのPepperも、確かに人型ロボットですね。国民的キャラクターのドラえもんはネコ型ロボットですが、いずれにしても、私たちは子供のころのアニメーションや漫画での出会いから、ロボットに対して親しみやすい友達のような感覚を持っているのかもしれません。

現実の世界では、すでに製造現場などで人間に代わって作業をしてくれる産業用ロボットが多く用いられ、作業の効率化や人手不足の解消に役立っていますが、高齢化社会が進む現在では、福祉の分野でのロボットの活躍に期待が高まっています。

多くの高齢者にとって、社会的孤立や孤独といった問題は無視できなくなっています。産業技術総合研究所の柴田崇徳氏が認知症の治療用に開発した、赤ちゃんアザラシ型のロボット「パロ」は、高齢者の孤独感を和らげることがわかっています。なぜこのロボットは赤ちゃんアザラシの形をしているのでしょう? 柴田氏はロボットの開発にあたり、人間にとって身近な存在であるイヌの形状にすることはあえて避けたそうです。ほとんどの人がイヌの動きや反応をよく知っているだけに、人工のイヌに対する失望感が生まれる可能性が高いからです。その点、アザラシの赤ちゃんはだれでもどのようなものか知っていますが、実際に近くで見たり触ったりしたことのある人はほとんどいないでしょう。その点で柴田氏は、アザラシの赤ちゃんは、セラピーロボットの見た目として完璧だと考えました。技術面の要素ももちろん重要ですが、セラピーロボットとしての役割から、人に受け入れてもらうためのかわいらしさ、「アート」の要素がとても大切だったのです。

さて、同じく福祉の分野で、介護用ロボットが導入される未来を想像してみましょう。介護用ロボットは、高齢化社会のどのようなニーズに応えることができるでしょうか? そして、その介護用ロボットのデザインをあなたが任されたとしたら、どのような外見のロボットを設計するでしょうか? やはり親しみを持てるように、人間に似せたロボットがよいでしょうか? それとも、いかにも機械のような見た目のロボットの方が、私たちはプライバシーを保てるでしょうか?
「不気味の谷」という興味深い現象があります。人に似せてつくられたロボットには、特に人を惹きつける魅力がありますが、ロボットの見た目がどんどん人間に近くなっていくと、人はある時点から急激にロボットに対して不気味さや不安を感じはじめるというのです。古い日本人形や蝋人形を見て、なんとなく背中がぞくっとすることがあるのは、きっとこのためですね。
さあ、デザイナーはあなたです。ロボットの外見をどうするか、様々な観点から考えてみましょう。


・介護用ロボットは、どれくらい人間らしくなる必要があるのでしょうか?


・介護用ロボットが人間に似ていることのメリット・デメリットとはなんでしょうか?


・介護用ロボットに求められる役割と、人間のような見た目であることには、どれほどの関連性があるのでしょうか?

ブリタニカ・ジャパンでは、こうしたテーマを探究していくSTEAM教材「介護用ロボット」を、経済産業省の「STEAMライブラリー」で提供しています。詳しくは、経済産業省「STEAMライブラリー」のサイトでコンテンツをご覧ください。


STEAMライブラリー – 未来の教室「介護用ロボット」

ロボットというと、その高度な機能に目が行きがちですが、ロボットの外見によって人間の心理が大きく左右されることを考えると、そのデザインは思った以上に重要な要素かもしれません。自分や自分の家族が、将来、介護用ロボットのお世話になるとしたら、あなたはどのようなロボットに傍にいてほしいですか? 想像力を働かせながら、ぜひこの教材に取り組んでみてください。


ブリタニカ・ジャパンは、2020年度『経済産業省「未来の教室STEAMライブラリー事業』事業者に採択されました。

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