探究学習とは?目的や教科学習と異なる先生の役割、課題について解説

 

高校では、2022年から「地理探究」や「古典探究」といった探究学習が本格的に導入されます。探究学習とは、生徒自身が課題の設定を行い、課題を解決するための分析や協働を進める学習のことです。ゆくゆくは小学校・中学校教育でも一般化する教育になるでしょう。

それでは、探究学習を行う目的やメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、探究学習の課題や学習中に先生が担う役割を交えながら、わかりやすく解説していきます。

探究学習とは

探究学習とは、生徒自身が問いや課題を立て、それを解決するための分析や協働を進める学習のことです。先生が出した問い掛けに生徒が反応するのではなく、生徒自身が自らに問い掛ける探究心を養うことが目的であり、生徒の自主性や主体性を引き出すかがポイントになります。

よく似た言葉に「探求」がありますが、探究とは言葉の持つ意味が異なります。探求は「探し求めること」という意味で、探究は「物事の真のすがたを探り、見極めようとすること」という意味です。つまり探究は、探求よりも哲学的で深い言葉と考えられます。

探究学習と教科学習の違い

文部科学省では、教科学習について「系統的に組織化された文化内容を教授することにより、子どもを知的に「陶冶」すること」と定義付けています。一方の探究学習は、子どもの自主性を育てることを主な目的としており、定義としては「教科外学習」に該当する学習です。

探究学習が注目されている背景

現代はAIがさまざまな判断を下したり、IoTが普及したりするなど、時代の変化の先行きを見通すことが困難な時代です。こうした時代に対応できる人材を育成するために、平成26年から学習指導要領等の在り方について議論が重ねられてきました。

その中で生まれた結論の1つが「探究学習の導入」です。自分自身で思考し、課題を見つけて解決を図る探究学習は、新時代を力強く生き抜くための感覚を養う教育として期待され、注目を集めています。

探究学習を行う目的・メリット

探究学習を行う目的や、探究学習を通じて得られるメリットは以下の3つです。

<探究学習を行う目的・メリット>
・生徒の学習意欲向上につながる
・生徒の豊かな心を育成できる
・生徒の進路選択の幅が広がる

探究学習によって生徒の心身を育成し、進路の幅を広げる効果にも期待できます。それぞれのポイントをわかりやすく解説するので、順番に細かくチェックしていきましょう。

生徒の学習意欲向上につながる

教師によって与えられた課題ではなく、自分自身で課題を見つけることが出発点となるため、生徒の学習意欲の向上を期待できます。また、課題と向き合って解決する成功体験を重ねることが自信にもつながり、自己肯定感を高めることもできるでしょう。

生徒の豊かな心を育成できる

探究学習を進めるにあたり、生徒同士が話し合う協働学習の機会も増えます。協働学習ではたくさんの生徒と意見を交わすため、多様性に触れ、豊かな心を育みながらコミュニケーション能力を身に付けられるところもメリットです。

生徒の進路選択の幅が広がる

探究学習を持続させると、自分自身の将来や進路について考える機会が必然的に増えます。どんな仕事に就きたいのか、どのような理想を持って社会と関与したいのかという点を早くから考えられるため、生徒の進路選択の幅が広がるでしょう。

探究学習を通じて学んだことが、AO入試や推薦入試で評価される可能性もあります。希望する大学や学部への進路が見えやすくなることが、学習意欲の向上につながり、さまざまな相乗効果を生み出せると考えられています。

探究学習における先生の役割

探究学習における先生の役割は、大きく「ティーチャー」「コーチ」「ファシリテーター」の3つに分けられます。ティーチャーは従来の先生像そのものではありますが、探究学習では生徒との接し方をアップデートしなければいけません。

ここからは、これらの3つの役割について詳しく解説します。

ティーチャー

ティーチャーは、体系化された知識を生徒に浸透させる役割を担います。従来の先生像でもありますが、探究学習では課題を与える側にばかり回ることは推奨できません。生徒に考えさせる・感じさせることを意識しながら、生徒が関心を持ったり、集中力を保ったりできるように導くことが大切です。

コーチ

専門的な指導をすることが、コーチという役割の最も大きな仕事ですが、精神的支柱としての役割を担うことも重要です。諦めたり、投げやりになったりしている生徒を奮い立たせ、目的や目標、夢に向かって導く存在になることを意識しましょう。

ファシリテーター

ファシリテーターは「促進者」という意味を持ちます。中立的な立場を保ち、議論の場が円滑に進むようにサポートするのがファシリテーターの役割です。協働学習などの機会では、すべての生徒が意見を述べられる雰囲気を作り、授業の質を高めましょう。

探究学習を行う際の2つのポイント

探究学習が本格始動するのは2022年以降なので、どのように授業を進めるべきなのかわかりにくいかもしれません。ここでは、探究学習を行うときのポイントを2つにまとめました。何を意識しながら授業を行うと良いのか確認しておきましょう。

探究学習の目標を明確にする

まずは探究学習の目標を明確化させるために、探究テーマを設定しましょう。例えば「持続可能な社会の探究」をテーマにすると、「経済」から「国際関係」、「文化のグローバル化」まで、さまざまなアプローチから生徒がそれぞれ考える「SDGs」の探究・発表にたどり着けるでしょう。

探究学習における一連の流れを複数回繰り返す

探究学習は、単発で行うよりも一連の流れを複数回繰り返したほうが効果的です。生徒は探究学習をする中で多くの発見や反省を見つけられます。修正を加えながら探究学習を繰り返すことで、成功体験の機会が増え、自信を深められるでしょう。

探究学習の基本的な流れは、「論文の作成」「成果の発表」「講評と議論」です。同一のテーマを突き詰めたり異なるテーマに新しくチャレンジしたりする中で、生徒は成長を繰り返すことができます。

探究学習における3つの課題

探究学習における課題として考えられる点が3つあります。探究学習は明確な正解が存在しない学習なので、指導計画や個々の評価基準を設けるのが難しいです。

この項目では、先生が直面する可能性のある探究学習の課題と、その解決策をご紹介します。

生徒への評価が難しい

探究学習の成果は学力テストではわかりません。主観の影響も大きく、生徒への評価が難しいことが第一の難関です。

課題の設定や情報収集の経緯といった過程、結論の導き出し方や情報の整理・分析方法といった点を評価すると良いでしょう。

指導計画に不安がある

探究テーマの決め方など、指導計画に不安を感じる先生も多いです。特に「答えありき」の教育をしてきた方にとって、探究学習を取り仕切ることは難しいかもしれません。

「ティーチャー」「コーチ」「ファシリテーター」という3つの役回りを意識して生徒と接することが、探究の教育を成功に導くコツです。

指導計画どおりに進まない

入念な指導計画を立てても、生徒のモチベーション不足が原因で授業が進まないケースも少なくありません。こういった事態を防ぐためには、生徒が興味を持ちやすいICT教材の導入がおすすめです。あらゆる情報が手に取るようにわかる環境があれば、生徒の学習意欲は大幅に向上します。

まとめ

2022年から探究学習が本格的にスタートします。探究学習は生徒自らが課題を見つけ、それを解決するための分析や協働を行う学習です。指導計画を立てにくいこと、指導計画どおりに授業が進みにくいことなどが課題ですが、ICT教材の導入によって解決できる可能性があります。

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