2002年4月に施行された新学習指導要領により、小学校では3年生から6年生に対して「総合的な学習の時間」が創設されました。
総合的な学習の時間では、調べ学習を通じて学びを深めていきますが、先生方の中には「限られた授業時間で何をどう進めていけば良いのかわからない」「テーマも指導法も自由だと負担が大きい」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、小学生の調べ学習の進め方やおすすめのテーマ、調べ学習で活用できるツールをご紹介します。記事を読めば、調べ学習の準備に割く時間を今より軽減できるので、ぜひ参考にしてみてください。
小学生の調べ学習とは、2002年4月に施行された、新学習指導要領の「総合的な学習の時間」で活用される学習法です。ここでは、小学生の調べ学習の概要を簡単に解説します。
調べ学習では、1つのテーマを自分で調査したり分析したりすることで、主体的に学ぶ力や問題解決能力、論理的思考を育むことを目的としています。
調べ学習を実施すると、幅広い視野で問題を捉えるスキルや、自主的に問題解決へ取り組むスキル、自分の意見を他人にわかりやすく伝えるスキルなどが身につきます。このスキルは学校生活の間だけでなく、児童が社会に出てからも重要視されるスキルなので、社会の中でより良い人生を送るためにも、今から少しずつ養っていく必要があります。
調べ学習は、先生が設定したテーマに沿って学習を深める学習法なのに対し、探究学習は自ら設定したテーマに対して学習を深める学習法です。また、調べ学習は調べることが主な目的ですが、探究学習は調べるだけでなく、第三者と話し合いながら、問題解決に向けて自分なりの答えを導き出すことが主な目的です。
そのため、調べ学習は探究学習に入るまでの練習という位置づけといえるでしょう。
小学生の調べ学習は、以下の手順で進めましょう。
<小学生の調べ学習の進め方>
➀テーマを決める
➁仮説を立てる
➂情報を集める
➃情報を整理・分析する
➄まとめて発表する
1つずつ手順の内容を解説していきます。
まずは、児童が「深く知りたい!」と思えるようなテーマを先生が決めましょう。ただし、調べ学習は「環境」「福祉」のように大きなテーマだと、学習を進めにくいです。そのため、環境がテーマであれば「身近な自然とその良さ」、福祉がテーマであれば「身の回りの高齢者とその暮らし」のように、具体的に落とし込みましょう。
次に、調べ学習の方向性を決めるために、各児童がテーマに対する仮説を立てます。例えば、テーマが「お米の生産量がもっとも多い国はどこ?」であれば「お米は日本人の主食なので日本」というような仮説を立てると良いです。
仮説を立てたあとは、仮説を立証するために児童へ情報を集めさせます。情報を集める方法は教科書だけでなく、インターネットや博物館、図書館など、複数の場所を利用し、幅広い情報源から収集できるように指示しましょう。
このとき、先生は個人ブログやSNSのような信頼性に欠ける情報源から情報を集めないよう、児童に伝える必要があります。信頼性の低い情報源から情報を集めると、調べ学習の信頼性も下がってしまうからです。
したがって、情報集めは公的機関や新聞など、信頼性の高い場所が発信している情報から集めるように伝えましょう。また、情報を集める際は、本のタイトルや出版年数、参照元のURLなど、必ず参照元をひかえさせることも大切です。
次は、集めた情報を整理させたり分析させたりして、テーマや仮説について回答させましょう。
ただし、集めた情報をそのまま記載させてはいけません。情報は、あくまでも自分の意見を他人にわかりやすく伝えるための手段なので、情報の内容をもとに、自分の意見を混ぜながらオリジナリティの高い文章になるよう指導しましょう。
児童がテーマや仮説に対する回答を導き出せたら、今回の調べ学習全体のまとめを行い、クラスで学習内容を発表し合います。
発表方法は、パワーポイントで動画や資料を見せながら発表する方法や、模造紙1枚に調べ学習の内容をまとめる方法、学習内容をプリントにして一人ひとりに渡す方法などさまざまです。先生は、児童が複数の方法から発表内容を選択できるよう、あらかじめ利用できる発表方法を伝えておくと良いでしょう。
小学生の調べ学習におすすめのテーマを、低学年と高学年にわけてご紹介します、テーマ選びにお悩みの先生は、ぜひ参考にしてみてください。
小学校低学年は、まず調べ学習に楽しさを見いだすことが大切です。テーマは以下のように、児童が興味を持ちやすい身近な内容から選ぶことをおすすめします。
<小学校低学年向けのテーマ>
・いろいろな物を凍らせてみよう!(理科)
・宇宙飛行士は何をしているの?(理科)
・家の仕事には何がある?(生活)
・塩の結晶を取り出そう!(理科)
・蝉の鳴き声は何種類?(理科)
・家から出たゴミはどこへ行くの?(社会)
小学校高学年になると、複数の資料を見比べたり、調べた情報をもとに自分の考えを導き出せるようになってきたりするので、以下のように少し難しめのテーマを設定しても良いでしょう。
<小学校高学年向けのテーマ>
・昔の暮らしと今の暮らし(社会)
・オリンピックの歴史(社会)
・方言の違いを都道府県別に調べてみよう!(国語)
・SDGsの具体的な目標と達成度(社会)
・日本に地震が多いのはなぜ?(社会・理科)
・福祉マップを作ろう!(社会)
小学生の調べ学習で活用できるツールには、以下のようなものがあります。
<小学生の調べ学習で活用できるツール>
・書籍
・インターネット
・ワークシートテンプレート
・ICT
調べ学習に慣れていない小学生には、事前に「活用できるツールがあること」「用途によって適切なツールが異なること」を伝えてあげましょう。そうすることで、子どもたちは、より自分の好きなことを深掘りする楽しさを見出せます。
各ツールの特徴やメリット、デメリットなどを解説します。
教科書や図書館の本など、書籍には信頼性の高い情報が掲載されているので、調べ学習を行うツールとして使いやすいです。また、小学校には図書室があるので、授業中はもちろん、放課後や休憩時間でも資料探しをしやすい点がメリットといえます。
ただし、書籍によっては、古い情報が掲載されている点がデメリットです。書籍から情報集めをする場合は、児童に出版年を確認させ、ここ数年で出版された書籍を参考にするよう伝えましょう。
<h3>インターネット</h3>
インターネットは、最新の情報を幅広い情報源から、手軽に取得できる点が大きなメリットです。今は小学生一人ひとりにタブレットが配布されているため、調べたいと思ったときにすぐ調べられる点もメリットといえます。
ただし、インターネットは情報量が多いぶん、自分にとって必要な情報を精査する力が求められます。また、情報源によっては信頼性に欠けるものもあるので、その点も見極める力が必要です。
ワークシートテンプレートには、調べ学習の流れや調べる内容などが記載されているので、児童は見通しを持って調べ学習を進められる点がメリットです。
ただし、ワークシートテンプレートは、先生の技量によって内容の充実度にバラつきが出やすい点がデメリットといえます。また、テンプレートにない情報は調べられないので、児童の興味・感心を制限してしまう可能性がある点もデメリットです。
ICTを調べ学習に活用すると、効率良く情報集めが進むだけでなく、タブレットや電子黒板を使って視覚的に発表できる点がメリットです。また、ICTによっては、調べ学習に活用できる動画資料や、発表に活用できるイラスト・写真なども利用できるため、児童もより直感的に調べて学習を進められます。
ただし、先生がICT機器の扱いに慣れていないと、調べ学習が円滑に進みにくい点はデメリットです。
調べ学習は、2002年4月に施行された新学習指導要領に基づき、小学校3年生から6年生の間で「総合的な学習の時間」の学習法として使用されています。
ただし、調べ学習は先生がテーマを設定するだけでなく、進め方もある程度は指示していく必要があり、忙しい中でテーマ調べやワークシート作りなどの授業準備に追われやすい現状があります。
本記事では、小学生の調べ学習におすすめのテーマや活用できるツールを紹介しましたが、実際にご自身のクラスに合ったテーマやツールを選ぶとなると、悩んでしまう先生方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで、小学校3年生から6年生の担任を持たれている先生方には、ブリタニカ・ジャパンが提供している「ブリタニカ・スクールエディション」をおすすめします。
ブリタニカ・スクールエディションは、小学校・中学校向けの調べ学習に特化したICT教材です。16万以上の百科事典項目や、確かな情報源を持つWebサイトへのリンク、動画・写真・イラスト、グラフ作成ツールなど、児童が効率良く調べ学習を進めるためのコンテンツを多数搭載しています。
また、アクティブラーニングに活用できる話題や根拠となる資料群、ワークシートや授業案など先生に嬉しいツールが多数含まれている点も特徴です。
授業準備に時間が取れない先生方や、調べ学習の進め方に苦戦している先生方は、ぜひブリタニカ・スクールエディションの導入をご検討ください。
参考: 2002年1月17日 文部科学省 資料008
参考: 総合的な学習の時間について 資料6
「ブリタニカ・スクールエディション」は、小学校、中学校など教育機関で利用されているオンライン百科事典です。