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高校探究学習の課題を解決!教師必見の指導方法とテーマ例

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2022年から「総合的な探究の時間」が高校の必修教科になり、数学や地理、古典などでも探究的科目が追加されました。探究学習は、総合的な探究の時間や各種探究的科目で、生徒が自主的に問題を見つけ出し、学習に取り組む力を身につけるために活用される学習法です。

ただし、探究学習には数学や化学のように明確な答えがなく、必修教科になって日が浅いことから、授業の進め方に困っている高校の先生方も多いでしょう。

そこで今回は、高校の探究学習とは何か、テーマ設定のポイントや探究学習の進め方、指導のあり方や課題と解決方法をまとめて解説します。本記事を読めば、探究学習の進め方に悩む心配がなくなるので、ぜひ最後までご覧ください。

高校の「探究学習」とは?

高校の探究学習とは「総合的な探究の時間」や、国語や地理歴史などの必修教科で新設された「古典探究」「日本史探究」などの授業で行われる学習法です。生徒たちは受け身の学習だけでなく、探究学習を通して、自主的に問題解決へ取り組む姿勢を身につけます。

高校で探究学習が始まった背景

情報化やグローバル化が日々進化する世の中において、成人年齢が18歳に引き下げられた今、高校生にとって政治や社会への参加がより身近なものとなりました。

このような世の中に適合していくためには、受け身の姿勢ではなく、自ら積極的に問題解決へ取り組める人材が必要なことから、2022年より高校で探究学習が始まったのです。

探究学習が生徒に与える影響とメリット

探究学習には、生徒の学習意欲を高める効果があるため、結果的に学力の向上が期待できます。また、探究学習では自分の興味あるテーマを掘り下げて学習していくため、進路や進学先を見つける手がかりになる可能性も高いです。

高校での探究学習のテーマ設定について

高校の探究学習では、生徒が自ら学習テーマを設定します。テーマはゼロの状態から生み出さなければならないので、生徒にとってはつまずきやすいポイントです。

ただし、テーマ設定のポイントを先生から伝えておくと、生徒もテーマを見つけやすくなります。

テーマ設定のポイント

探究学習のテーマは、まず趣味や興味のある分野から見つけ出すのがポイントです。自分の好きな物事をテーマにした探究であれば、生徒自身も最後まで意欲的に取り組みやすいでしょう。

また、ニュースや社会情勢で気になる事項からテーマを設定したり、日々の生活の中で納得できない事項からテーマを設定したりするのもポイントです。

テーマ例の一覧

高校の探究学習で利用できるテーマには以下のようなものがあるので、テーマの設定方法を教える際は、参考にしてみてください。

<理系のテーマ例>

・炭酸飲料を飲むと骨が溶けるのは本当か?

・竹とんぼの飛行距離と羽の角度の関係性

・断食ダイエットの効果と体への影響

<文系のテーマ例>

・レジ袋の削減は環境問題解決に効果があったのか?

・音と記憶力の関係性

・東日本大震災の震災遺構の活用法と残し方

<総合のテーマ例>

・ストリートチルドレンを助けるために私たちができること

・自分らしさを発揮できる職業の選択

・AIは人間を超えられるか?

高校での探究学習の進め方

高校での探究学習は、以下の流れで進めていきます。

<高校での探究学習の進め方>

➀課題の設定

➁情報の収集

➂整理・分析

➃まとめ・表現

1つずつ内容を確認していきましょう。

①課題の設定

高校の探究学習では、生徒が自ら課題のテーマを設定します。ただし、最初のうちは何をテーマにすれば良いかわからない生徒も多いです。先生は「テーマ設定のポイント」で解説した内容に沿って、テーマの設定ポイントを伝えましょう。

②情報の収集

課題のテーマを設定したら、生徒は書籍やインターネットなどのツールを使い、問題解決に向けて役立つ情報を収集していきます。

ただし、探究学習では、生徒が自分で必要な情報を見つけ出す作業が大切です。困っている生徒がいても、先生は答えを教えてはいいけません。困っている生徒がいた場合の声かけは、調べ方を教えたり、おすすめの書籍を紹介したりする程度に留めましょう。

③整理・分析

次に、生徒は集めた情報を元に整理・分析を行います。原因と結果を整理したり、数値をグラフにまとめたりして、情報を整理させましょう。また、集めた情報だけで課題を解決させるのではなく、足りない情報はないか気付かせる作業も探究学習のポイントです。

もし足りない情報がある場合は手順②に戻らせ、必要な情報を収集させましょう。

④まとめ・表現

整理や分析が終了したあとは、クラスメイトの前で学習内容を発表させます。

発表方法にはパワーポイントを使用する方法や、模造紙にまとめて発表する方法など複数の方法があります。先生は、事前に活用できる発表方法を伝えておくと良いでしょう。

また、発表の場では、クラスメイトから質問や感想を受け付ける時間を取ることも大切です。第三者の意見を聞くことで、発表者は偏った考えに気付けたり、他者の意見を柔軟に聞き入れる姿勢を身につけられるようになったりします。

高校での探究学習における指導のあり方

高校で探究学習を実施する場合、先生は以下3つの点を意識して指導することが大切です。

<高校での探究学習における指導のあり方>

・生徒の良さや可能性を引き出し、伸ばす

・生徒の自発性・能動性とのバランスを保ちながら指導する

・生徒が変容した姿を想定する

1つずつ解説していきます。

生徒の良さや可能性を引き出し、伸ばす

生徒は、探究学習で実際に体験したり調査をしたりして、学習テーマへの思いを膨らませていきます。また、学習の過程において、生徒は自己のあり方を考えながら、問題を解決する能力を育んでいきます。先生は、生徒の良さや可能性を引き出して伸ばせるよう、手を出しすぎないことが大切です。

生徒が自主的に行動している場合は静かに見守り、困っている場合は生徒が解決手段に気付けるような指導を心がけましょう。

生徒の自発性・能動性とのバランスを保ちながら指導する

探究学習では、基本的に生徒の自発性や能動性を大切にします。しかし、探究として展開していくよう、時には考えを整理する方法や表現方法、発信方法などを先生が指導する必要があります。

過度な指導は生徒の良さや可能性をつぶしてしまうので、生徒の学習状況を見ながら、ここぞというタイミングで適切なアドバイスをしていきましょう。

生徒が変容した姿を想定する

探究学習を成功させるためには、学習を通して生徒が望ましく変容した姿を想定しておくのも大切です。変容してほしい生徒像を想定しておけば、どのタイミングでどのようなアドバイスをしたら良いのか、先生側も理解した状態で授業に臨めるため、探究学習を指導しやすくなります。

高校の探究学習における課題と解決策

高校の探究学習を指導していくと、以下のような課題にぶつかりやすいです。

<高校の探究学習における課題>

・生徒のモチベーション維持が難しい

・先生への負担が重くなる

・リソースが不足する

・生徒の適切な評価が難しい

ただし、これらの課題には解決策があるので、1つずつ解説します。

生徒のモチベーション維持が難しい

探究学習では、テーマ決めから情報収集、発表まで、すべて生徒が主体的に行います。しかし、テーマが思ったより難しかったり、思うように探究学習が進まなかったりすると、モチベーションを維持できなくなる生徒もいます。

このような場合は先生が介入し、スモールステップを踏ませましょう。生徒と一緒に小さな達成目標を決め、1つずつ確実に探究を進めていけば、生徒も達成感を味わえるため、モチベーションを維持しやすくなります。

先生への負担が重くなる

探究学習では、生徒全員が異なるテーマで探究を進めていくので、先生は生徒全員の状況を把握しながら、一人ひとりに合ったアドバイスや指導をしていく必要があります。また、探究学習には答えがないので、指導方法が難しいことから先生への負担が重くなりがちです。

先生の負担を軽減するためには、事前に探究学習のガイドラインを調べておき、探究学習の助けになるようなツールを活用する方法がおすすめです。

リソースが不足する

探究学習には時間と手間がかかるため、数学や国語などほかの教科学習も必要な生徒にとっては、リソースが不足する可能性があります。

リソース不足は、生徒にとって精神的にも肉体的にもストレスを与えてしまうので、探究学習はスケジュールに余裕を持たせて開始し、時間管理を徹底することが大切です。

生徒の適切な評価が難しい

探究学習には明確な答えがなく、生徒一人ひとりが扱うテーマも異なるため、先生は生徒を適切に評価するのが難しくなってきます。

そのため、探究学習を実施する場合は、ルーブリック評価やパフォーマンス評価を活用し、数学や国語のような科目とは別始点で評価できる体制を整えておきましょう。

まとめ

高校の探究学習では、生徒が自主的に学びたいテーマを設定し、問題解決に向けて取り組む学習方法です。学習の自由度が高いぶん、生徒は途中でモチベーションが低下したり、リソースが不足したりする可能性もあります。先生は一人ひとりの状況を見ながら、適切なタイミングでアドバイスできるように心がけることが大切です。

ただし、先生も、明確な答えや指導方法がない探究学習を指導するのは大変です。ほかの授業準備がある中で、探究学習の準備ばかりに時間を割くわけにはいかないでしょう。

そこで、高校の先生方には、ブリタニカ・ジャパンが提供する「ブリタニカ探究総合パック」のご利用をおすすめします。

ブリタニカ探究総合パックは、テーマに応じたキーワード集や指導案と指導のヒント、授業を効率よく進めるためのスライド集、ワークシートや生徒用の補足資料がセットになった探究学習ツールです。ツールの中には、ルーブリック評価に基づいて、学習のプロセスや達成度を簡単に可視化できる評価ツールや、テーマに基づいた動画コンテンツ、授業の進め方を確認できるTips動画などもあります。

本ツールを活用していただければ、短時間で授業準備が完成するだけでなく、指導案を一から考える必要もありません。

探究学習の準備に時間が取れない先生や、探究授業の進め方がわからない先生方は、ぜひブリタニカ探究総合パックの導入をご検討ください。