高校の探究学習では、テーマの設定から生徒が行います。ただし、探究学習ではテーマを自由に設定できるので、何をテーマに設定したら良いのかわからず、出だしからつまずいてしまう生徒もいるでしょう。
そこで今回は、高校生の探究学習でおすすめのテーマを、理数系・歴史・地域課題・グローバルな社会課題・イノベーションの5つに分けて、合計25例をご紹介します。
記事内では、探究学習のテーマを決める流れや、テーマ決めに悩む生徒へ先生ができることも解説しています。最後まで読めば、今以上に探究学習の授業が円滑に進むようになるでしょう。
高校の探究学習とは、問題が発生した際に、生徒自身が自主的にさまざまな視点から解決策を考え、自分で解決する能力を身につけるために行われる学習法です。
主に必修科目である「総合的な探究の時間」で実施されますが「古典探究」「日本史探究」「世界史探究」「地理探究」「理数探究基礎」「理数探究」の選択科目でも実施されます。
探究学習の目的は、生徒の思考力や判断力、表現力などの育成です。
探究学習には、以下のメリットがあります。
<探究学習のメリット>
・テーマを生徒が自由に設定できるので、学びの自由度が高い
・学習内容が社会のどこで役立っているのかを理解できる
・学力が向上しやすい
・コミュニケーション能力や社会性、表現力など、教科学習では身につかないスキルを獲得できる
・進路決定のきっかけ作りになる
・大学の総合型選抜や推薦入試で活動実績が評価される
高校生は探究学習をとおして、生徒自らが問題解決に向けて解決策を考える力や、自主的に行動していく能力を身につけていきます。そのため、生徒一人ひとりにとってテーマ選びは重要です。
社会に出ると、答えが1つではない問題に直面する機会が増えます。その際に、自分で考えて問題解決に向けて動ける人材でなければ、社会では通用しないため、今のうちから課題を発見する力を養う必要があるのです。
高校生の探究学習で活用できるおすすめのテーマを、以下5つの分野から5種類ご紹介します。
<高校生の探究学習で活用できるおすすめのテーマ>
・理数系のテーマ
・歴史に関するテーマ
・地域課題に関するテーマ
・グローバルな社会的課題に関するテーマ
・イノベーションに関するテーマ
初めて探究学習に取り組む場合は、テーマ例として、先生が生徒にこれらのテーマを提案してあげるのも良いでしょう。
理数系では、以下のようなテーマがあります。
<理数系のテーマ>
・ルービックキューブの攻略法
・紙飛行機の飛行距離は折り方が影響するのか?
・ダンゴムシの交替性転向反応はどのようにして起こるか
・マツの葉の汚染率は空気中のちりの量の指標となるか
・金平糖の角の形成過程の数理モデルを作成する
これまで学んできた数学や化学、物理、生物の知識が、実際にどのような場面で役立つのかを探究します。
歴史に関するテーマには、以下のようなものがあります。
<歴史に関するテーマ>
・なぜ原爆は広島と長崎に落とされたのか?
・冷戦後の国際社会の変動がおよぼした日本への影響
・絵画から読み解く中世ヨーロッパの歴史
・なぜギリシャの都市国家に民主政治が生まれたのか?
・幕藩体制が長い間指示された理由
歴史好きな生徒は、歴史に関するテーマで探究学習を行うと、最後までモチベーションを維持しながら、より歴史に関する知識を深められるでしょう。
地域課題に関するテーマには、以下のようなものがあります。
<地域課題に関するテーマ>
・高校生にできる空き店舗の活用法を考える
・とんど祭りの魅力の発信と、次世代に継承していく方法
・デジタル技術を活用した地域防災マップの作成
・本当に必要な子育て支援サービスの開発
地域課題は、生徒たちの身近にある問題を取り上げるため、探究学習の中でも意欲的に取り組みやすいテーマです。
グローバルな社会的課題に関するテーマには、以下のようなものがあります。
<グローバルな社会的課題に関するテーマ>
・ジェンダー問題をスポーツで考える
・紙ストローはプラスチックゴミ問題の解決に効果があったのか?
・私たちができる食品ロスの削減活動
・外国人労働者の現状と課題
・難民の実態・課題
グロ-バルな社会的課題に関するテーマは、ニュースでよく目にする課題が多いです。こちらも地域課題同じように、高校生でも取り組みやすいテーマといえます。
イノベーションに関するテーマには、以下のようなものがあります。
<イノベーションに関するテーマ>
・スマートフォンアプリの開発と運営
・視聴回数が多い動画と少ない動画の違い
・新商品をヒットさせるSNS戦略
・人手不足解消にAIロボットは役立つか?
・学生向けプログラミングスクールを運営してみよう
最新技術を活用して、既存の製品に新しい価値を生み出したり、新しいビジネスモデルの開発に興味があったりする生徒におすすめのテーマです。
探究学習のテーマは、具体的に以下の流れで決めていきます。
<探究学習のテーマを決める流れ>
➀自分自身の興味関心を掘り下げる
➁学問分野や社会課題とつなげ、「問い」を見つける
➂解決策を考え、実現可能性を検討する
➃検証するための仮説を立てる
先生が探究学習のテーマを決める流れを把握しておけば、テーマ決めに悩む生徒を1人でも減らすことが可能です。
ここでは、先にご紹介した探究テーマの中から「高校生にできる空き店舗の活用方法を考える」をピックアップし、具体的にどのような流れで考えればこのテーマに行き着くのかを解説します。
探究学習のテーマは、生徒の興味関心を掘り下げて「もっと知りたい!」と思う内容を見つけ出すところからスタートします。興味や関心のあるものが見つからない生徒には、好きなものや楽しいと感じること、自分の生活に身近な物事や、将来の希望する進路を掘り下げるよう提案してみましょう。
今回の事例であれば「通学路にある商店街の過疎化問題」を掘り下げました。
次に、掘り下げた話題を数学や国語、社会などの学問分野や社会問題とつなげ、問いを見つけます。問いは、探究学習を具体的に進めていくための大きな手がかりです。
今回の場合だと「店舗の種類と商店街を通る人のギャップ」が問いにつながりました。
問いが明確になったら、問いに対する解決策を具体的に考え、その解決策が実現可能なのかを検討します。今回は「通学路にある商店街の過疎化問題」という漠然とした興味から「高校生にできる空き店舗を上手く活用する方法」という解決策に結びつけました。
最後に、探究学習を進めていくための仮説を立てます。
今回の事例であれば「商店街は〇〇高校の生徒の多くが通るので、お小遣いで気軽に買えて、インスタ映えもする食べ物を販売すれば、空き店舗を上手く活用できるうえ、商店街も活性化するのでは?」を仮説にできます。
探究学習のテーマ決めにおいて、先生にできることを生徒への接し方を基準に解説していきます。
高校生の探究学習は、生徒自身でテーマを設定することに意味があります。そのため、テーマ決めに悩んでいる生徒がいたとしても、具体的なテーマ例を提供するのではなく、生徒の興味関心を引き出すような声かけをしてみましょう。
また、生徒と同じ目線になり、最近の出来事やモヤモヤしたことなどを聞き出してみる方法も有効です。そうすることで、生徒は自分の興味関心に気付きやすくなり、自然と探究したいテーマにたどりつけます。
テーマ選びに悩んでいる生徒がいた場合は、以下のような声かけをしてみましょう。
<生徒への声がけの例>
・「環境問題を改善させるために、高校生のあなたなら何ができるかな?」
・「〇〇という商品は、△△という問題を解決するために生まれたんだよ。」
・「難民問題を難民の視点から考えたら、どう見えてくるかな?」
テーマを具体的に教えるのではなく、生徒の気付きを引き出すような声かけを意識することが大切です。
高校生の探究学習では、生徒自身がテーマ設定を行うことで、自ら問題解決に向けて解決策を考える力や、自主的に行動していく能力を身につけていきます。
ただし、テーマの内容には制限がないので、自由すぎるあまり、テーマの設定方法がわからない生徒もいます。この場合、先生は具体的にテーマを提供するのではなく、生徒の気付きを引き出せるような声かけをすることが大切です。
しかし、テーマの設定方法がわからない生徒が多くいると、そのぶん先生の負担も大きくなってしまいます。
そこで、探究学習を担当される先生には、ブリタニカ・ジャパンが提供する「ブリタニカ探究総合パック」のご利用をおすすめします。
ブリタニカ探究総合パックは、探究学習のテーマ設定からまとめ、表現までを実践的に学べるツールです。情報・環境・人権・国際協力・災害・医療の各テーマに応じたキーワードが多数収録されているので、生徒は自分の興味があるテーマのキーワードを確認するだけで、探究テーマを設定できます。
また、各テーマに特化した補足資料や動画コンテンツ、テーマ別のワークシートも収録されているため、本ツールを活用していただけますと、探究学習を始めたばかりの生徒もスムーズに学習を進めやすいです。
さらに、ツール内には、先生向けに指導案や指導のヒント、生徒の理解を促進するためのスライド資料や評価ツールも収録しているため、授業準備や評価の手間も大幅に削減できます。
探究学習のテーマ決めで時間を取られやすい先生や、授業を円滑に効率良く進めたい先生は、ぜひブリタニカ探究総合パックのご利用をご検討ください。