【探究学習・STEAM教育】総合的な探究の時間で活用できるSTEAMコンテンツ

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総合的な探究の時間の目標とは?

高等学校の総合的な探究の時間では、どのような学習を目指すとよいのでしょうか。
学習指導要領では、総合的な探究の時間の目標を次のように説明しています(下線は筆者による)[1]

第1 目標
 探究の見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 探究の過程において、課題の発見と解決に必要な知識及び技能を身に付け、課題に関わる概念を形成し、探究の意義や価値を理解するようにする。
(2) 実社会や実生活と自己との関わりから問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現することができるようにする。
(3) 探究に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、新たな価値を創造し、よりよい社会を実現しようとする態度を養う。

目標の記述に何度も登場する「探究」とは、具体的にどのような学習活動を指すのでしょうか。
この点については、学習指導要領の解説の中で次のように整理して説明されています[2]

①課題の設定
日常生活や社会に目を向けた時に湧き上がってくる疑問や関心に基づいて、自ら課題を見付ける

②情報の収集
そこにある具体的な問題について情報を収集する

③整理・分析
その情報を整理・分析したり、知識や技能に結び付けたり、考えを出し合ったりしながら問題の解決に取り組む

④まとめ・表現
明らかになった考えや意見などをまとめ・表現し、そこからまた新たな課題を見付け、さらなる問題の解決を始める

同じく学習指導要領の解説で言及されているように、探究に取り組むときは、①②③④の活動の順序が入れ替わるのはもちろん、ある活動に重点がおかれることも起こりえます。

学習指導要領では、総合的な探究の時間の内容は各学校で定めるよう記載されていますが、具体的にどのような内容にするか悩むケースもあるかもしれません。

そこで今回は、無料のSTEAMコンテンツを活用した探究の実践方法をご紹介します。

無料公開されているSTEAMライブラリー

経済産業省とさまざまな企業や学校、NPO法人が協力して制作したSTEAMコンテンツを無料公開しているサイトがあります。それが、「STEAMライブラリー」です。

「STEAMライブラリー」のTOPページ

「STEAMライブラリー」のなかには様々なテーマのSTEAMコンテンツが格納されており、どのコンテンツも無料で利用することができます。

これらのSTEAMコンテンツを使うとどのような探究が可能になるのか、具体的にみていきましょう。

活用例1 STEAMコンテンツを使って、課題を設定する

「STEAMライブラリー」では、キーワード(たとえば「SDGs」など)でSTEAMコンテンツを検索するのはもちろん、「テーマ一覧」や「レクチャー一覧」のリンクから自分が気になるテーマを探すことが可能です。

「テーマ一覧」のリンクをクリックすると、様々なSTEAMコンテンツを一覧できる

「STEAMライブラリー」の「テーマ一覧」を閲覧し、自分が興味をひかれたテーマを選び、実際のSTEAMコンテンツ(動画やスライドなど)を見ていくことで、生徒が今後探究していくテーマを見付けることができるでしょう。

活用例2 STEAMコンテンツを使って探究の学習活動を体験する

前述したように、探究の学習活動としては、①課題の設定②情報の収集③整理・分析④まとめ・表現の4つがあげられます。

「STEAMライブラリー」にあるSTEAMコンテンツのなかには、上述した探究の学習活動を体験できるものがあります。

ブリタニカが制作した「『こわい』と娯楽/『こわい』はなぜ娯楽になるのか?」を例に、どのような学習活動が展開できるか見てみましょう。

「こわい」と娯楽/「こわい」はなぜ娯楽になるのか?

「『こわい』と娯楽/『こわい』はなぜ娯楽になるのか?」のコンテンツでは、「なぜ、『こわい』という感情を呼び起こすものは娯楽になるのか?」という課題に取り組みます。

生徒たちは「こわい」音声の制作やグループディスカッションを行いながら、情報の収集やそれらの整理・分析、まとめ・発表といった学習活動に取り組みます。

STEAMコンテンツを使った学習を通して、生徒たちは探究の学習活動を体験することができるので、この体験をベースに、各生徒が課題を設定して取り組む探究につなげることができます。

STEAMで教科横断的・総合的な学習を

学習指導要領のなかでは、総合的な探究の時間の目標を、「探究の見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うこと」としています。

先ほど紹介した「『こわい』と娯楽/『こわい』はなぜ娯楽になるのか?」では、生物(人間の体のメカニズム)や音楽(恐怖心を喚起する音程)、倫理(倫理面からこわさを検討)など、様々な分野を横断した総合的な学習ができる構成になっています。

「総合的な探究の時間」のなかでSTEAMコンテンツを使った実践に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考文献

[1]文部科学省(2018)高等学校学習指導要領.

[2]文部科学省(2018)高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総合的な探究の時間編. p12


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