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令和の日本型学校教育で学びを再定義!特有の課題解消に向けて有効な施策とは

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2021年1月に発表された中央教育審議会の答申により「令和の日本型学校教育」という言葉が生まれました。これにより目指すものは明確化されていますが、現時点での課題は少なくありません。この記事では、令和の日本型学校教育の概要や課題、取り組みについてわかりやすく解説します。

令和の日本型学校教育とは?

令和の日本型学校教育とは、文部科学省に設置された中央教育審議会(中教審)から生まれた言葉です。現在は教育DXの加速や感染症拡大、世界各国で発生している紛争など、子どもだけでなく大人にとっても予測困難な時代となりました。教育現場には、そんな時代にも柔軟に対応できる人材を育成することが求められています。

そこで定義されたのが、これまでの日本型学校教育に新しい動きを付け加えた令和の日本型学校教育です。具体的な取り組みについては後述しますが、新学習指導要領の着実な実施や、ICTの活用により、子どもたちがウェルビーイングを実現できる教育を目指します。

「令和の日本型学校教育」が登場した中央教育審議会の答申

中央教育審議会の答申で令和の日本型学校教育が登場した背景には、AI(人工知能)やビッグデータ、ロボティクスといった最先端技術の発達が見え隠れします。さらに新型コロナウイルスの流行により、社会のあり方は劇的に変化しました。こうした時代の変化に対応するために、学校教育を根本的に改革する必要が生じたのです。

令和の日本型学校教育が目指すもの

令和の日本型学校教育が目指すものは次の3つです。それぞれのポイントをわかりやすく解説します。

<令和の日本型学校教育が目指すもの>

・個別最適な学び

・協働的な学び

・新たな教師の学びの姿

個別最適な学び

個別最適な学びとは、児童・生徒の能力や個性に適した学習のことです。先生には、児童・生徒の成長度合いやつまづき、悩みなどを理解して、個々の興味や関心を踏まえた指導や支援が求められます。

指導においては、一定の目標を児童・生徒全員が達成することを目指し、進捗や特性に応じて指導方法や教材を柔軟に提供することが重要です。また、学習に関しては、児童・生徒自身にとっての学習が最適となるように、興味や関心に応じた学習活動・学習課題に取り組む機会を提供します。

協働的な学び

協働的な学びとは、探究的な学修や体験活動を通じ、他者と協働しながら持続的な社会に関与するための学びのことです。令和の日本型教育と協働的な学びには、児童・生徒が自ら考えて行動する主体性を重視する面での共通点があります。

新たな教師の学びの姿

中央教育審議会の答申においては、令和の日本型学校教育の姿として「教職員の姿」が定義されています。

具体的な姿として記されているのは「教師が技術の発達や新たなニーズなど学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて探究心を持ちつつ自律的かつ継続的に新しい知識・技能を学び続け、子供一人一人の学びを最大限に引き出す教師としての役割を果たしている。その際、子供の主体的な学びを支援する伴走者としての能力も備えている」などです。

令和の日本型学校教育を目指すうえでの課題

令和の日本型学校教育を実現するための課題は少なくありません。具体的には次の4つを挙げられます。それぞれのポイントを確認しましょう。

<令和の日本型学校教育を目指すうえでの課題>

・教職員の負担増、人材不足

・子どもの多様化

・生徒のモチベーション維持の難しさ

・教育現場でのICT導入の遅れ

教職員の負担増、人材不足

先生の長時間労働は、以前より日本の教育現場における課題として指摘されています。ICT化に伴い改善の傾向が見られますが、後述するように遅れが生じていることも事実です。ICT化に対応するための知識や技能を身につけるための負担が課すことや、知識や技能を持ち合わせた人材が不足していることは、令和の日本型学校教育を目指すうえでの大きな課題といえます。

知識や技能を身につけるための負担が課すことや、知識や技能を持ち合わせた人材が不足していることは、令和の日本型学校教育を目指すうえでの大きな課題といえます。

子どもの多様化

障がいや家庭環境、経済格差、国籍などの面で、子どもの多様化が拡大していることも課題の一つです。例えば、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童・生徒の数は増加傾向にあります。このような多様化が、いじめや不登校の原因につながるケースも珍しくありません。学校側としては、すべての子どもが安心して通える環境を整えるために、従来よりも福祉的な役割を果たす必要があるでしょう。

生徒のモチベーション維持の難しさ

児童・生徒の学習意欲を維持・向上させることも、令和の日本型学校教育における課題です。少子高齢化の影響などにより、以前と比較して受験競争が容易になったことに加えて、多様な働き方が認められるようになりました。このため、従来のように単純な学歴獲得競争は大きな学習動機にならず、新たな学習内容や学習方法の動機づけが必要とされています。

主体的な学習の実現には、児童・生徒が自らテーマを取捨選択する必要があります。しかし「自分で考えなさい」と言っても「何をすればよいか分からない」と立ち止まり、混乱しがちです。このような準備不足を解消するためには、主体的な学習を進めやすくするための教材を導入するといった工夫が求められます。

教育現場でのICT導入の遅れ

後述する「GIGAスクール構想」などにより教育現場のICT化が推進されていますが、現時点ではシステムやプロセスの変更が不十分です。地域や学校ごとにインターネット環境設備の格差が生じており、機会均等に影響を与えています。また、情報技術の進化が急速に進むなか、先生が最新の教育技術を取り入れるために必要なトレーニングやサポートが不足していることが原因の一つです。

令和の日本型学校教育に向けた取り組み

令和の日本型学校教育においては、今後の教育発展に向けた取り組みとして、以下の3つを示しています。それぞれのポイントを確認しましょう。

<令和の日本型学校教育に向けた取り組み>

・新学習指導要領の全面実施

・学校での働き方改革

・GIGAスクール構想

新学習指導要領の全面実施

学習指導要領とは、文部科学省が定める教育課程(カリキュラム)の基準です。10年ごとに改定されており、最新の学習指導要領は小学校で2020年度、中学校で2021年度、高校は2022年度から実施されています。

学校での働き方改革

先述したとおり、先生にかかる負担が大きいことは、令和の日本型学校教育における課題のひとつです。この課題を解消するために、文部科学省は働き方改革により、先生の長時間労働の改善に努めています。具体的な対策は「勤務時間管理の徹底」や「教職員定数の改善」「専門スタッフや外部人材の配置拡充」などです。

GIGAスクール構想

GIGAスクール構想とは、児童・生徒1人につき1台のパソコンやタブレットを普及させ、高速ネットワーク環境を整備する取り組みです。ハード面の環境整備に加えて、デジタル教材やAIといったソフトの活用や、ICT支援員などを活用した指導体制の強化もGIGAスクール構想に含まれます。

まとめ

令和の日本型学校教育とは、2021年1月の中央教育審議会において生まれた言葉です。個別最適な学び舎協働的な学びを目指しますが、教職員の負担増や、教育現場におけるICT導入の遅れといった課題が指摘されています。

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