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1人1台端末が子どもの可能性を引き出す!教育DXを加速させるポイントとは

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学校教育のICT化を実現させるための「GIGAスクール構想」により、1人1台端末の普及が進められました。しかし、1人1台端末によるメリットや課題が分かりにくいと悩む先生方も多いでしょう。この記事では、日本における1人1台端末の現状や活用事例、円滑に運用するポイントなどを解説します。

1人1台端末とは?

1人1台端末とは、文部科学省によるGIGAスクール構想を推進するために、児童・生徒1人につき1台の端末が必要とする施策です。まずは1人1台端末の概要や、日本における普及率と現状についてご紹介します。

GIGAスクール構想と1人1台端末

GIGAスクール構想とは、情報通信技術(ICT)を活用したICT教育を実現するための準備に向けて不可欠な構想のことです。GIGAスクール構想では、1人につき1台のパソコンやタブレットを付与し、高速通信環境を整備することにより、教育DXの実現を目指しています。

日本における1人1台端末の普及率と現状

文部科学省が2023年10月に公表した調査結果によると、全国の小学校・中学校・高校をはじめとする公立学校における教育用コンピュータの普及率は0.9台/1人です。2020年時点の4.9台/1人から大幅に普及率が高まり、ICT教育に向けた準備が整っていることが分かります。

初等中等教育における1人1台端末の活用事例

小学校・中学校・学校外における1人1台端末の活用事例をご紹介します。

<初等中等教育における1人1台端末の活用事例>

・小学校での活用事例

・中学校での活用事例

・学校外での活用事例

小学校での活用事例

小学校4年生~6年生の算数科においては、反復学習を取り入れた1人1台端末の活用事例があります。次の授業に向けた課題を「発表ノート」として図や動画を添付した状態で配布し、次回の授業ではグループ学習も取り入れながら、主体的な反復学習の機会を創出しました。

中学校での活用事例

中学校3年生の音楽科においては、クラウドを活用した1人1台端末の活用事例があります。「威風堂々 第1番」で2つの旋律の違いを聞き分け、生徒は気付きをメモに入力し、グループで共有する授業内容です。音楽鑑賞を授業で充実させることは困難ですが、ICT化により手軽に実現できます。

学校外での活用事例

学校外でも1人1台端末の活用事例があります。例えば家庭学習では、家庭学習カードのフォーマットをクラウドで共有する方法が有効です。先生はオンライン上で児童や生徒の学習状況を確認できるため、印刷や配布といった作業を削減でき、コストカットにも役立ちます。

1人1台端末のメリットと課題

1人1台端末には以下のメリットと課題があります。それぞれのポイントを詳しく見ておきましょう。

【1人1台端末のメリットと課題】

メリット

課題

・「個別最適な学び」と「協働的な学び」を充実させられる

・情報収集がしやすくなる

・コミュニケーションがとりやすくなる

・災害や感染症の拡大時にも学びを保障できる

・環境整備に手間とコストがかかる

・ITリテラシー教育が必要となる

・これまでになかったトラブルが発生するリスクがある

メリット① 「個別最適な学び」と「協働的な学び」を充実させられる

1人1台端末は「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実に不可欠です。

個別最適な学びとは、児童や生徒の特性や進捗、興味・関心に応じた指導を柔軟に提供することを指します。パソコンやタブレットを使った学習により、児童・生徒のデータを収集しやすくなるため、個別最適な学びを実現しやすくなるでしょう。

協働的な学びとは、学習者同士や先生などの他者と協働しながら意見交換を行い、双方を高め合う学び方です。1人1台端末により、児童・生徒同士の交流を促進できるほか、家庭学習など日常的な場面でも活用できるため、学びを促進しやすくなります。

メリット② 情報収集がしやすくなる

1人1台端末により、児童・生徒側も必要な情報を収集しやすくなります。例えばデジタル版の百科事典を利用する場合、紙の百科事典と比較して鮮明な画像を見られることに加えて、音声や動画を使った学習も可能です。

海洋汚染問題を挙げると、WWFやNASAによる海洋データなども収集できます。世界中の情報にアクセスでき、グローバルな視点を持った児童・生徒も育成しやすくなるでしょう。

メリット③ コミュニケーションがとりやすくなる

パソコンやタブレットのメッセージ機能を活用すれば、児童や生徒と先生が活発にコミュニケーションをとれます。また、保護者とは遅刻や欠席などの連絡もリアルタイムで行えます。対面と比較して気軽に相談できる環境を構築できるため、いじめなどのトラブルを未然に防ぎやすくなることも1人1台端末のメリットです。

メリット④ 災害や感染症の拡大時にも学びを保障できる

1人1台端末により、災害やコロナ・インフルエンザといった感染症の拡大時にも、オンライン授業で学びを保障できます。児童や生徒の家庭の経済的事情に左右されることなく、学びの機会を提供できることもメリットでしょう。

課題① 環境整備に手間とコストがかかる

1人1台端末の推進には手間とコストがかかります。導入時にパソコンやタブレットを購入する必要があるほか、故障時には修理や交換といった対応をしなければなりません。また、メンテナンスや更新作業に手間がかかることもデメリットです。

課題② ITリテラシー教育が必要となる

1人1台端末を円滑に運用するために必要なのがITリテラシー教育です。先生にとってはツールを使いこなす知識や技術が、児童や生徒にとっては情報の正確性を見極める能力などが求められます。

課題③ これまでになかったトラブルが発生するリスクがある

パソコンやタブレットのメッセージ機能を使ったいじめや、フィッシング詐欺や不正アクセスといったサイバー犯罪など、これまでになかったトラブルに巻き込まれるリスクもあります。先述したように、ITリテラシーやネットリテラシーを強化して対策する必要があるでしょう。

1人1台端末を円滑に運用するためのポイント

1人1台端末を円滑に運用するために重要なポイントは次の4つです。それぞれを解説します。

<1人1台端末を円滑に運用するためのポイント>

・端末利用の基本ルールをつくる

・ICTに慣れるための時間や環境をつくる

・セキュリティ対策やプライバシー保護を徹底する

・トラブルの防止策や、発生時の対応方法を策定する

端末利用の基本ルールをつくる

本来の目的で端末を利用するために、校内・家庭内双方で基本ルールを設定しましょう。具体的な例をいくつかご紹介します。

<端末利用の基本ルールの一例>

・端末の使用時間を守る

・端末の落下や水濡れが発生しないよう注意する

・学習以外の目的では利用しない

・アプリのインストールと削除は学校の指示どおりに行う

ICTに慣れるための時間や環境をつくる

ICTは新しい指導法であり、児童や生徒によってはタブレットやパソコンを扱うのが初めての場合もあります。そのため、ICTに慣れるための時間や環境をつくることが重要です。キーボード入力やアプリの操作など、基本的な部分から指導すると良いでしょう。

セキュリティ対策やプライバシー保護を徹底する

セキュリティ対策やプライバシー保護も1人1台端末を円滑に進めるために重要なポイントです。パスワードを適切に扱うことや、個人情報をインターネット上に書き込まないことなども指導しましょう。

トラブルの防止策や、発生時の対応方法を策定する

万一のトラブルに備えて、防止策や対応方法を策定しておくことも大切です。留意すべきポイントをいくつかご紹介します。

<トラブルの防止策>

・フィッシング詐欺などのリスクがあるサイトにはアクセスしない

・発信者が不明なファイルはダウンロードしない

・許可なく他人を撮影しない

・30分に1度は休憩を挟む

トラブル発生時には、子どもが速やかに相談できるように、先生の連絡先を知らせておくと良いでしょう。保護者とも緊急連絡先を共有しておくことにより、トラブルを素早く解消しやすくなります。

まとめ

1人1台端末とは、GIGAスクール構想を実現するための前提となる施策です。1人1台端末により「個別最適な学び」と「協働的な学び」を充実させられるなどのメリットを得られますが、セキュリティリスクなどが発生することは注意点です。

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