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形成的評価の導入時に意識すべきこととは?学習の効率化に向けたポイントを考える

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文部科学省が推進する個別最適な学習や、指導と評価の一体化に役立つ評価として注目されているのが「形成的評価」です。しかし、形成的評価を導入するにあたっての課題も少なくありません。この記事では、形成的評価の概要やメリット、課題、そして実施例をご紹介します。

形成的評価とは?

形成的評価とは、児童・生徒が行う学習の過程で実施する確認のことです。学習の効果を高めるためには、学習目標に進捗を照らし合わせながら、個々に応じた指導を行う必要があります。このように、学習の段階に応じて行う評価のことを形成的評価といいます。

児童・生徒の学習到達度を評価し、その状況に応じて授業内容や指導方法を修正できることが形成的評価の特徴です。学習につまづいている児童・生徒がいる場合は、適切な声かけや補充指導などを行い、事前に設定した目標を全員が達成できるように修正します。

なお、後述する診断的評価と総括的評価はそれぞれ手段・目的が異なります。状況に応じて最適と思われる選択をする努力も必要です。

診断的評価との違い

診断的評価とは、学習開始前に児童・生徒の学習状況を把握する評価方法です。それぞれの児童・生徒にとって最適な指導を実践するために、学習レベルや興味・関心などの調査を行い、その結果に応じて指導計画や授業構想を練ります。

総括的評価との違い

総括的評価とは、学習過程のサイクルを終えてから行う評価方法です。学習計画に沿った指導を行い、テストやレポートなどを通じて学習の成果を確認します。そのうえで、学期や学年ごとの評価を行い、次の学習や指導に活かすことが特徴です。

形成的評価を導入するメリット

形成的評価を導入する主なメリットは次の3点です。それぞれのポイントについて解説します。

<形成的評価を導入するメリット>

・学習を深めるサイクルが早い

・指導方針のズレが発生していたときに柔軟に修正できる

・学習意欲向上につながる

学習を深めるサイクルが早い

期末や年度末に包括的な評価を行っていた従来型の評価方法とは異なり、形成的評価は短期的なサイクルで学習に対するフィードバックを行えることが特徴です。課題を把握し、解決策を見つけて、フィードバックを受けるというサイクルが早いため、児童・生徒が学習を深めやすいでしょう。

指導方針のズレが発生していたときに柔軟に修正できる

形成的評価を行った結果、児童・生徒の学習に対する進捗に遅れが出ている場合は、短いスパンで指導方法を改善できます。指導方針のズレが発生したとしても、児童・生徒を取り残さないように対応できるため、クラス全体の能力の底上げが期待できることも形成的評価のメリットです。

学習意欲向上につながる

学習プロセスを確認しながら学べるため、児童・生徒の学習意欲向上につながることもメリットです。形成的評価を導入すると、児童・生徒はこれまでの成果が可視化されることに加えて、自分自身の進捗を実感できます。また、先生は児童・生徒の特性に合わせた指導方法に調整できるため、学習意欲を引き出しやすいのです。

形成的評価を導入する際の課題

形成的評価の導入にあたっては、以下のような課題があることも把握しておかなければなりません。それぞれのポイントと解決策を解説します。

<形成的評価を導入する際の課題>

・教員の負担増加

・評価基準作成のハードルが高い

・一律での教育に帰結してしまわないように配慮する

教員の負担増加

形成的評価にあたっては、授業中の態度や学習過程、個別指導など、多角的な評価が必要です。また、個々に対して最適な指導をするためのフィードバックも欠かせません。そのため、これまでに行われてきたテスト中心の評価と比較して先生のタスクが増え、負担増加につながりやすくなります。

評価基準作成のハードルが高い

形成的評価における評価基準は多岐にわたるため、一律の評価基準を作成するための難易度が高いです。知識・技能といった基礎的な要素に加えて、思考力・表現力・協働性なども評価しなければなりません。テストと比較して評価基準も曖昧になりやすく、公平性を確保することが難しいでしょう。

このような課題の解決策として有効なのは、評価基準を具体的に設定することです。ルーブリックやポートフォリオといったツールを活用すると、児童・生徒にとってもわかりやすい評価基準を設定できます。面談などの機会を活用して、保護者に対しても評価基準を伝えると、家庭からの理解も得やすいでしょう。

一律での教育に帰結してしまわないように配慮する

児童・生徒の特性は一人一人異なっており、段階や背景にも違いがあります。それぞれの特性を汲み取りながら形成的評価を行わなければ、従来型と変わらない、一律での教育に帰結する恐れがあるため、注意しなければなりません。

形成的評価の実施例

形成的評価の導入を検討しているものの、どのような形で取り入れるべきか悩んでいる先生方も多いでしょう。ここでは、形成的評価の実施例について、3つの実例を取り上げてご紹介します。

<形成的評価の実施例>

・振り返りシートの活用

・提出物への都度のフィードバック

・ポートフォリオ評価の導入

振り返りシートの活用

授業終了の5分前に振り返りの時間を設け、シートに記入する学習方法が形成的評価の実施において有効です。学習のねらいや達成状況、理解できていない点などを確認できるため、形成的評価を下すための資料として活用できます。児童・生徒自身も客観的に目標への進捗を確認でき、復習に活かしやすいでしょう。

提出物への都度のフィードバック

小テストなどの提出物に対して、都度のフィードバックを行うことも、形成的評価を実践するための有効な手段です。1コマの授業ですべての児童・生徒に声がけをすることは困難ですが、提出物へのフィードバックであれば、個々の進捗を確認しながら的確なアドバイスを送れます。

ポートフォリオ評価の導入

ポートフォリオとは、先生からのフィードバックを前提に、児童・生徒の学習や活動、自己評価、指導内容、評価を記録して、学習・教育活動を可視化したものです。ポートフォリオに記した記録を整理することにより、児童・生徒の学習を改善したり、先生が個々の学習状況を把握したりしやすくなります。

ICT教材が形式的評価に寄与する3つの理由

形式的評価には先述した実施例がありますが、より効果的な学習に寄与するのがICT教材です。形式的評価とICT教材の相性が良い理由について、3つご紹介します。

<ICT教材が形式的評価に寄与する3つの理由>

・タイムリーなフィードバックが可能になる

・多様な方法で形式的評価を行える

・正しい情報にアクセスでき軌道修正の手間を省ける

タイムリーなフィードバックが可能になる

リアルタイムで学習データの集計ができ、タイムリーなフィードバックが可能になることがICT教材のメリットです。例えば小テストを利用する場合、回答を集計するまではフィードバックができません。ICT教材を利用すれば、授業中にフィードバックをすることも可能なため、授業の理解度を一段と深められます。

多様な方法で形式的評価を行える

ICT教材を活用すると、小テスト結果の評価のみならず、記述式の問題への評価やプレゼンの評価など、多様な方式で形式的評価を行えます。児童・生徒ごとの得意・不得意を可視化できるため、個別最適化した学習を提案しやすくなるでしょう。

正しい情報にアクセスでき軌道修正の手間を省ける

ICT教育で注意しなければならないのは、インターネット上の誤った情報を学習に取り入れるリスクがあることです。信頼できるICT教材を活用すると、正しい情報だけにアクセスできます。形式的評価において軌道修正の必要性が減り、児童・生徒と先生双方が効率よく学習を進められます。

まとめ

形成的評価とは、児童・生徒が行う学習の過程で実施する確認のことです。学習を深めるサイクルが早いことや、指導方針のズレが生じた際に柔軟に修正しやすいことなどがメリットですが、教員の負担増加につながるといったデメリット・課題も見られます。

このようなデメリットを解消するための対策として、ブリタニカ・ジャパンのICT教材をご利用ください。当社が提供するICT教材は、児童・生徒だけでなく、先生の使いやすさにもこだわっていることが特徴です。当社のICT教材を導入していただくことにより、質の高い授業を、短い準備・評価時間で実施できます。


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