
関西国際大学にて、兵庫県立舞子高等学校の生徒を迎え、高大連携の取り組みの一環として「データリテラシー=面白いデータの可視化」をテーマとした講義・探究活動を行いました。本プログラムでは、データをただ“読む”だけでなく、“問いを立て、整理し、可視化し、伝える”プロセスを体験することを目的とし、『ブリタニカ探究総合パック』を基盤資料として活用しました。

講義の冒頭では、関西国際大学 情報学部 章教授が「同じデータでも見せ方によって印象が変わる」ことを実感できる例を提示しました。グラフの切り取り方や軸の取り方で数字の意味が変わることを確認すると、生徒たちは「グラフ次第で、増えているようにも減っているようにも見える」数字は正しくても、伝わり方が変わる」と気づきを口にしていました。
軸を極端に省略しないこと、比較の際に尺度をそろえること、出典や年次を明示することなどのポイントを押さえることで、単に「操作できる」と理解するだけでなく、誠実な可視化の基本についても確認しました。
生徒たちはグループごとに関心のあるテーマを選び、調査・分析に取り組みました。その際、基礎知識の整理や社会的背景の確認に『ブリタニカ探究総合パック』を活用。体系的に整理された記事を出発点にすることで、「なぜこの数字になるのか」という視点を意識しながら探究を進めました。
あるグループは「救急医療の現状」をテーマに設定。調査の中で2006〜2007年の救急搬送時間に関するデータに着目しました。古いデータを扱うことで、「このデータはいつのものだろう?」「最新の状況と比べる必要はないか?」「古いデータで現在の課題を語ってよいのか?」といった疑問が生まれ、背景や時代状況を意識する力が育まれました。
そのうえで、生徒たちは「時間が延びている背景には、医療機関の受け入れ先がすぐに決まらない問題があるのではないか」「都市部では人口集中の影響もあるのではないか」と考察を深めました。
発表後の質疑では、総数ではなく人口あたりで比較する必要性や、地域ごとの条件を揃えて考える視点についても議論が交わされました。最終的には「救急医療は医療側だけの問題ではなく、利用する私たちの意識も関係している」という社会的な視点まで議論が広がりました。
各グループは集めたデータをグラフや図表に整理し、課題を伝える工夫を重ねました。比較グラフで変化を強調したり、都市部と地方を並べて表示したり、時系列で推移を示したりすることで、単なる数字の羅列ではなく、「何を伝えたいのか」を意識した可視化を実践しました。
発表後の質疑では、年代や他の要因との関係など、データの信頼性や解釈の妥当性に関する議論も活発に行われました。
今回の取り組みを通して、生徒からは「数字を見るだけでなく、背景を考えるようになった」「信頼できる資料から調べる大切さが分かった」「データは読み方次第で印象が変わると実感した」といった声が聞かれました。
『ブリタニカ探究総合パック』は、調査の出発点となる信頼性の高い情報源、背景理解を支える体系的資料、根拠ある議論を支える土台として、生徒の学びを支えました。
本プログラムは、総合的な探究の時間、情報科(データ活用単元)、社会科の時事問題学習、高大連携プログラムなど、さまざまな場面で応用可能です。テーマは医療に限らず、環境問題、少子高齢化、エネルギー、防災などにも広げられます。
データリテラシーを育成するうえで重要なのは、信頼できる情報から出発し、問いを立て、可視化し、他者と議論するプロセスを体験することです。本事例は、その実践モデルの一例となりました。
ブリタニカ総合探究パックは、高等学校など教育機関で利用されている探究学習教材です。