【導入事例】関西学院千里国際中等部・高等部 進路情報センター長 米田 謙三 様

 

ICT教育の重要性に着目し、教育現場で先進的に進められてきた第一人者、米田謙三先生。日本アクティブ・ラーニング学会の会長を務め、経済産業省や内閣府の委員会にも参加するなど、ICT教育推進のため幅広く活躍されている米田先生に、「ブリタニカ・オンライン中高生版」導入の感想をお聞きしました。

ICTがもたらす積極的・能動的な授業参加意欲

米田謙三先生

――米田先生がアクティブ・ラーニングやICT教育の重要性に着目されたきっかけは何だったのでしょうか。

 2000年頃から、生徒の幅広い知識や思考力、あるいは問題解決力などの醸成が必要だとの観点から、「総合的な学習の時間」が導入され、調べ学習に力を入れるようになっていました。時代的に調べ学習が紙ベースからネットベースに変わるタイミングでもあり、ICT教育は学校現場で必須だと感じました。そこにSTEAM(Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematics)教育という新しい概念も加わって、より一層、生徒の積極的、能動的な授業への参加意欲をどのように高めていくか、しっかり考えていかなければならないと感じました。

――ICT教育の普及における課題は何でしょうか。

 本校ではすでに高校生は1人1台タブレット端末を持ち、普通教室にも電子黒板や無線LANを導入して、すでにICTの活用は長く行ってきました。
 近年、ICTを導入する学校は飛躍的に増えたとはいえ、今回のコロナウイルス感染症拡大、それによる学校の臨時休業で、オンライン授業に対応できない自治体、学校がまだまだ多いことが露呈しました。本来ICTは、どう使うかではなく、何に使うか、内容が重要なはずですが、まだその段階にない学校も多く散見されます。
 今後さらに通信技術は進歩していきますから、教育現場における導入は必須となります。まずは早急にICT環境を整え、アクティブ・ラーニングにもつなげていただければと思いますね。

豊富なコンテンツ、ハイレベルの教育にも対応

――ICT教材の導入前には、どのような課題を感じていらっしゃいましたか。

 私は大阪でICT教育に関する助言、監修なども行ってきて、例えば授業で使える無料のサイトを一覧にまとめ、それを提供したりしてきました。ただ当時は、生徒が調べ学習を行う際に使用するにしても、内容に信憑性があるか、あるいは著作権に抵触していないかなど教員側の確認も必要で、使い勝手は決してよくありませんでした。

――ブリタニカ以外の商品も試されたと思いますが

 そうですね。徐々にマルチメディア教材のサービスが出始めましたが、当時のマルチメディア教材では資料も少なく、レベル的にも満足できるものではありませんでした。もう少し高度で、生徒のレベルごとにアクティブ・ラーニング型の授業に対応する教材・コンテンツを探していました。

――今回、「ブリタニカ・オンライン中高生版」を選定していただいた決め手はなんでしょうか。

 やはりブリタニカの百科事典編集で培われた膨大なコンテンツですね。先ほど申し上げた信憑性や著作権の面はもちろんクリアしていますし、記事や画像、動画も大変充実していますから、学習支援ツールとしては最適だと思います。

――実際に使用されたご感想はいかがでしょうか。

 英語百科事典の「ブリタニカ・スクール」は、英語のレベルごとに3段階に分かれていて、同一項目で異なるレベルの記事にアクセスできます。本校は中等部、高等部を持っていますから、学年ごとに合った使い方ができます。
 また、国際バカロレアのカリキュラムにも対応するなど、ハイレベルな学習にも対応していますので、少し高度な教育を目指しておられる学校現場では大変有効的だと思います。私が様々なICT教材で「もう少しこうだったらいいのにな」と不満に感じていた点はクリアされていると思いますね。

深い学び、国際感覚の醸成に活用

――コンテンツ導入前と現在では何が変わりましたか。

 導入後、生徒たちはより主体的で、深い学びができるようになったと思います。国際的な視野や思考の醸成にもなっていますし、英語でのコミュニケーションやICT機器活用能力の向上にもつながっていると感じます。

――今後の活用方法、あるいは改善点などあればお聞かせください。

 特に探究型授業や政治経済授業においては、レッスンプラン機能を利用して、教員同士あるいは関係者同士で共有したり、意見交換したりして、よりブラッシュアップしていくことができると思います。
 改善点については、経済産業省の行っている「未来の教室」プロジェクトで、ブリタニカさんはSTEAMコンテンツを提供されていますが、あのサイト内での翻訳ツールが非常にいいと感じました。「ブリタニカ・オンライン」もどんどんブラッシュアップされているとは思いますが、日本語版への移行がもっとスムーズにできるといいですね。


 いずれにしても、これからは知識や技能だけでなく、総合的な思考力や表現力などが必須の時代になっていきますから、今後もICT教材を活用しながら、質の高い教育を行っていきたいと思います。


ブリタニカ・オンライン中高生版は、中学校、高校など教育機関で利用されているオンラインのデジタル教材です。

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