足立区立東伊興小学校では、地域とのつながりを大切にし、温かな教育環境が整っています。特に進路選択をサポートするキャリア教育に力を入れており、毎年、地域の大人たちと直接触れ合う機会を提供しています。
取材させていただいた授業では、子供たちが調べ学習を通じて積極的に知識を深めている姿が印象的でした。
授業では、「しらべ学しゅうの名人になろう」というテーマのもと、子供が自分で調べるテーマを選び、キーワードを挙げて情報を集める自主学習が行われました。3回の授業を通じて、最終的に子供たちは自らの調査結果をまとめる作業に取り組みます。今回は「災害」をテーマに、ブリタニカ・スクールエディション(以下、ブリタニカ)を活用した調べ学習が行われ、子供一人ひとりが、先生が準備したテーマ「災害」の参考となる「キーワード1」「キーワード2」が記載されたシートを活用して、調べ学習に取り組んでいました。
工藤先生は「調べ学習を通じて、子供たちには自分で考え、情報を整理する力を養ってほしい」と語り、授業の進行を見守りながら、子供たちが自ら考え、発言できるようにファシリテーターとしての役割を大切にしていました。
ーー まず、学校の特長について教えていただけますか?
当校はキャリア教育にも力を入れており、毎年、大人の経験談を聞き、それに対する感想を書き、進路選択に生かしています。さらに、地域の支援が非常に温かい学校で、困ったときには地域の方々が迅速にサポートしてくれるなどすぐに助けてくれるため、地域とのつながりが強いことが特長です。
ーー 先生が教育の中で最も大切にしていることは何ですか?
勉強ができることがすべてではないと思います。むしろ、子供たちが人との関わり方や協力する力を身につけることの方が大切だと考えています。学校生活を通じて、嫌なことがあっても頑張って乗り越える力を養ってほしいですね。
ーー 今日の自主学習「しらべ学しゅうの名人になろう」の内容について教えていただけますか?
以前、国語の授業で「ものには小さな名前と、それらをまとめる大きな名前がある」という学習を行いました。その学習の流れを受けて、単に見たものをそのまま書き写すのではなく、そこからさらに調べることを学んでほしいと考え、今回はブリタニカを使用して、自主学習「しらべ学しゅうの名人になろう」ということで調べ学習を実施しました。まず子供たちに、決められたテーマをもとに、キーワードを挙げさせ、それに関連する情報を調べさせる方法を取り入れ、3回に分けて授業を行っています。前回は「果物」をテーマにしましたが、今回は調べる範囲を広げるために、「災害」をテーマに設定し、ブリタニカを活用した調べ方を指導しました。
ーー 今回の授業の最終的な目標は何ですか?
最終的には、調べた内容をまとめ、全員が自分の調査メモを完成させ、調査結果をページに貼って、それをクラスのみんなに共有することを目標にしたいと考えています。
ーー 調べ学習は先生が決めたテーマで行われるのでしょうか?
取り組み方やテーマの例などの大枠は学校全体で出されていますが、個々のテーマについては子供たちの反応や興味を見ながら、私が調整しています。今年度は夏休み明けくらいから、タブレットを使った調べ学習を取り入れています。
ーー 授業で使用されていたシートについてですが、1と2には参考となるキーワードが記載され、最後の3には子供自身が考えたキーワードを記入する形になっていましたね。
これまでの授業では、クラス全員で「キーワード1」「キーワード2」「キーワード3」を考えていました。例えば、「今日は何を調べるか?」という話し合いから始め、まず1つ目のキーワードを決め、次にそれを深掘りして2つ目のキーワードを考えます。例えば、「食べ物」をテーマにすると、「食べ物にはどんな種類がある?」と問いかけて、さらに「果物」に絞り込むといった流れです。そして、最後の3つ目のキーワードは、子供自身が選ぶ形にしていました。
今回、テーマとして「災害」を扱うことにしたため、子供が思いつくキーワードを考えるのに想定以上に時間がかかると判断し、私があらかじめ「キーワード1」と「キーワード2」を入力しました。
夏休みに「調べ学習コンクール」が実施されましたが、もっと多くの子供に参加してほしいという声が学校全体の課題として挙がっています。そのため、こうしたシートを活用して子供が調べやすくなるよう工夫しています。また、5年生の先生は、この「調べ学習コンクール」でブリタニカを活用していると伺っています。
ーー ブリタニカ・スクールエディションを導入したきっかけは何でしたか?
ブリタニカを知ったきっかけは、ブリタニカの営業の方からいただいたお電話でした。それまで特に「これを使いたい」という具体的なツールを探していたわけではありませんでしたが、デジタルツールが教育現場でどのように役立つかには興味がありました。特に、子供たちが自分で調べたり学んだりできるリソースがあれば便利だなと思い、その後詳しい話を聞いてみることにしました。実際にブリタニカで実施されたセミナーを見たとき、思った以上に直感的に使える点に驚きました。操作が簡単で、さまざまな学年や授業に適応できる柔軟性があると感じ、これは教育現場にとって非常に有益だと実感しました。その後、他の先生方にもその利便性を伝え、みんなで意見を交換した結果、ブリタニカを導入することに決めました。子供たちにとっても、より深い学びを提供できるツールになると確信しています。
ーー 低学年の子供向けにブリタニカを使用するための工夫をどのようにされていますか?
一例ですが、図鑑の部分で、植物を見たければ『植物』を押して見る、という形で、それを映しながら使い方を練習しました。ですが、やっぱり検索のところに入れて何かを調べるとなると、調べたいことをキーワードではなく、文章で打ってしまうので、その検索能力については少し自信が持てないようです。例えば、『地震ってなんで起きるの?』と入れてしまうこともあり、なかなか引っかからないことが多いです。なので、そこは極力、検索することは避け、『ここにあるよ』と言って、ボタンを押して見るという方法で使っています。
ーー ブリタニカを導入した他の先生方の反応はどうですか?
特に低学年の先生方からは、「操作が簡単で、授業にすぐに取り入れやすい」という意見が多く、現場での活用がスムーズに進んでいます。一方で、高学年の先生方からは、歴史の資料集代わりに使ってもらったときに、使いやすい反面、歴史の情報が深く欲しい場合には資料集が使いやすいという声もあり、用途による使い分けが大切だと思いました。つまり、学年や教科に応じて、ブリタニカの使い方に工夫が必要だと感じていますが、その柔軟性こそがブリタニカの強みだと思います。
ーー 学習を通して力をつけてほしい部分はありますか?
現在の段階では、見たものをそのまま丸写しして満足してしまう子供が多く見受けられます。そこで、問いや自分の疑問に対して答えを見つけ、それを短くまとめる力を身につけてほしいと考えています。これは将来的に必要なスキルであり、5・6年生でも取り組む内容です。そのための基礎として、長い文章の中から自分に必要な情報を見つけ、「ここが大事かも」と気付けるようになってほしいと思っています。去年まで5・6年生の担任をしていた際に、調べ学習に取り組ませていた中で「このくらいはできるようになってほしい」と思っていたことがあります。現在、1年生を担当している中で、少しずつでもそこに向かっていけたらいいなと感じています。
ーー ブリタニカを使用した調べ学習でどのような効果を感じますか?
ノートの書き方が少しずつ上達してきています。毎週、短くてもコメントを書いて返すようにしており、「上手にまとめられたね」や「へえ、こんなこと知らなかった!」という一言や、ちょっとした下線を引くだけでも、子供たちは「何て書いてあるかな?」とノートの返却を楽しみに待ってくれています。本当に純粋で可愛らしいなと感じます。最初はただ書いてあることをそのまま写していた子供たちも、少しずつ意味を考えて書くようになっています。その変化が面白く、ノートを読むのが楽しくなってきました。
ーー 先生にとって調べ学習はなぜ重要だと思いますか?
今、高校受験がかなり変わってきているという話を小中学校の連携で聞く中で、「いろんなことを疑問に感じ、何でもいいから挑戦しよう」という気持ちを育んでほしいと考えています。調べ学習を通して知ったことが面白いと感じ、もっと知りたいと思えることがあれば、それが好きな分野に繋がるかもしれません。例えば、今まで全く興味がなかった子供が、実際に昆虫を見てみたら面白いと感じて調べ学習に興味を持つようになるかもしれません。その過程を大切にしています。
ブリタニカ・スクールエディションは、小学校、中学校など教育機関で利用されているオンライン百科事典です。