
教育現場における英会陰の課題ともいえるのが、児童・生徒の学習意欲向上です。学習意欲の向上は、文部科学省が目指す主体的な学びを実現するための重要な要素ですが、全員のやる気を引き出せずに悩んでいる先生も多いでしょう。この記事では、生徒の学習意欲に影響を与える要素や、学校・先生ができる学習意欲向上の工夫例をご紹介します。
そもそも学習意欲とは、児童・生徒の学びに対する積極的な態度や意欲を意味する言葉です。身近な言葉では「やる気」に言い換えることもできるでしょう。
学習意欲は「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」に分類でき、特に重要なのは、児童・生徒自身の興味や関心に基づいて学習に取り組む「内発的動機づけ」です。
学習意欲は、児童・生徒の学習成果や主体性を持った取り組みに対して大きな影響を与えます。学習意欲の低下を防ぎ、向上させることは、生涯学習の基盤にもなるでしょう。しかし、学習意欲は教育現場における永遠の課題といわれることも多いほど、維持・向上が難しいテーマでもあります。
学習意欲の定義は「児童・生徒が自ら進んで学習に取り組む意欲や態度」と「児童・生徒が自発的に学習活動に参加し新しい知識や技能の習得に意欲的に取り組むこと」の2つです。この2点を再確認したうえで、何が児童・生徒の学習意欲に影響を与えるのか、学習意欲を向上させるためにどのような工夫をするとよいのかを考えると良いでしょう。
児童・生徒の学習意欲に影響を与える要素は、以下のようにさまざまです。特に高校生は思春期を迎えたデリケートな時期といえます。学習環境にも気を配りながら、生徒が学びやすい体制を整えるとよいでしょう。
<生徒を取り巻く学習意欲に影響を与える要素>
・学習内容に興味・関心が持てるか
・明確な学習目標が立っているか
・学習目標の達成の可能性はあるか
・生徒が積極性を持てる指導方法をとっているか
・学習環境に問題はないか(物理面・心理面)
学校における学習内容に興味・関心を持てるようになると、自ずと学習意欲が高まります。そのために重要なのは、個々の児童・生徒が持つ特性や、得意分野・苦手分野を把握することです。詳しくは後述しますが、ICT教材を活用することにより、学習意欲の維持・向上につなげやすくなります。
明確な学習目標を立てることも大切です。学習目標が曖昧では、児童・生徒が何を目指して学習すればよいのかわかりません。「何のために学習するのか」「将来の目標から逆算して、今すべきことは何か」を明確化することにより、目標が定まるため、モチベーションを高めやすくなります。
先述したように学習目標を立てることは重要ですが、達成できる可能性が低い学習目標を立てると逆効果になる可能性もあります。例えばクラス内の成績が下位の児童・生徒に対して「中間テストの点数で学年TOP3に入る」といった目標を持たせても、達成可能性が現実的ではなく、学習意欲の向上にはつながりにくいでしょう。
先生が児童・生徒に対して一方向的に指導する方法をとると、児童・生徒は積極性や主体性を発揮できません。生徒が積極性を持って学習に参加できるよう、指導方法を工夫することによって、学習意欲を引き出しやすくなるでしょう。
楽興環境も学習意欲に大きな影響を与えます。特に重要なのは物理面と心理面の2点です。
物理面では、児童・生徒が快適に学習できる環境を整備することが重要になります。教室の温度や湿度、照明、換気といった基礎的な環境要因だけでなく、適切な広さの学習スペースを確保したり、学びやすい教材を用意したりといった対策が有効でしょう。
心理面では、児童・生徒が伸び伸びと学習に参加できる環境を整備することがポイントです。ミスを許容し、児童・生徒のチャレンジを讃えると、失敗を恐れず、積極性を持って学習に参加しやすくなるでしょう。そのためには、一人一人の個性を尊重し、多様な考えを許容する準備が必要です。
児童・生徒の学習意欲は、先述したようにさまざまな要素から影響を受け、向上することもあれば低下することもあります。学校や先生ができる学習意欲向上の工夫例について、具体的に5つのポイントから確認しておきましょう。
<学校側・教員側ができる学習意欲向上の工夫例>
・授業テーマと手法が魅力的かどうかを見直す
・評価制度を見直す
・強制感の軽減の意識
・教員間での連携強化
・学習意欲が低下している予兆を見逃さない体制の構築
児童・生徒が魅力的に感じられる授業テーマと手法を取り入れることが、学習意欲を向上させるための第一歩です。日ごろから児童・生徒が何に興味を持っているのかを調査し、児童・生徒の日常生活や進路に関連する授業テーマに設定することにより、学習意欲を向上させやすくなります。
評価制度の見直しもポイントのひとつです。目標に向かって努力した過程に目を向けず、試験などの結果ばかりを評価すると、成績がよくない児童・生徒を置き去りにしてしまいます。授業への参加度や積極性、レポートの内容などを多角的に評価することにより、学習意欲が向上しやすくなるでしょう。
先生に「やらされている」といった感覚を持つ児童・生徒は、学習意欲を持ちにくくなります。学校や先生は、それぞれの生徒が主体的に学べるようサポートすることが重要です。自律的な学修を支援できるように、自主学習しやすい環境を整えるといった工夫も有効といえます。
先生同士が連携をとり、情報共有をすることによって、生徒の特性を把握しやすくなります。授業や雑談のなかで児童・生徒の興味や関心を把握して、教員間で情報共有すると、特性に合った指導を行いやすくなるでしょう。
日常的に児童・生徒とコミュニケーションをとり、学習意欲低下の予兆を見逃さないようにしましょう。「授業中の発現機会が少なくなった」「欠席が増えた」といった変化は、学習意欲低下のサインです。問題を察知した場合は、個別面談などを通して原因を探り、対策を講じる必要があります。
児童・生徒の学習意欲を向上させるために重要なのは、児童・生徒が関心を持ちやすいテーマの授業を行うことや、児童・生徒がわかりやすい授業を行うことです。
動画や音声も活用しながら、関心のある事象を深掘りして学びやすいICT教材は、学習意欲の向上・維持に向けた授業との親和性が高いといえます。先生同士で情報共有したり、児童・生徒の学習過程を評価したりしやすいことも、ICTを積極的に活用するメリットです。
児童・生徒の学習意欲向上は、教育現場における永遠の課題ともいえます。学習内容や学習目標、指導方法など、学習意欲に影響を与える要素はさまざまです。先生の立場としては、児童・生徒が学習意欲を向上させられるように、授業テーマや評価制度を見直す必要があります。
「ブリタニカ・スクールエディション」は、小学校、中学校など教育機関で利用されている、児童・生徒の学習意欲向上に役立つICT教材です。子どもの興味・関心を喚起するために、写真だけで約34,800点、動画も約500点のコンテンツを盛り込みました。「わかる」「できた」といったポジティブな感情を引き出し、学習意欲向上に寄与します。