【探究・知識を深める】干支と十二支

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2023年は景気のよい年に⁉

 新年の干支は「卯(う)」、卯年です。ウサギは、穏やかで温厚であることから「家内安全」を、その飛び跳ねる姿から「飛躍」「向上」を表すと言われています。また株式相場には「卯跳ねる」という格言があり、景気が上向く年だとされています。寅千里を走る、とまではいかなかった人も、気持ちを新たに良い年にしていきたいものですね。

「干支」と「十二支」は違う?

 さて、「干支」と「十二支」は同じ意味でつかわれることが多いですが、実際には少し異なります。皆さんご存じでしたでしょうか。本来「干支」は、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」を略した言葉です。

十干十二支(じっかんじゅうにし)】 干支 (えと。幹支〈もとすえ〉の意) ともいう。中国の上古に始る暦法上の用語。十干は,甲,乙,丙,丁,戊,己,庚,辛,壬,癸で,何を基準としたかは明らかでないが,もと一旬 (10日) を表わす。十二支は,子,丑,寅,卯,辰,巳,午,未,申,酉,戌,亥。すでに殷代に,干支の組合せで暦日を表わしていた。前4世紀頃,十干が五行 (木,火,土,金,水) に配当され,前2世紀頃,十二支が鼠,牛,虎,兎,竜,蛇,馬,羊,猿,鶏,犬,猪に配当され,これが伝えられて,日本では甲子を「きのえね」 (木鼠) ,乙丑を「きのとうし」 (木牛) ,丙寅を「ひのえとら」 (火虎) のように呼ぶ。漢代,前2世紀頃,干支の組合せが,年,月の順を表わすのに用いられ,十二支の時刻,方角などを表わすのに用いられるようになった。

※「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」より抜粋。「ブリタニカ・スクールエディション」にも収録されています。

つまり、干支とは、

  • 十干:甲,乙,丙,丁,戊,己,庚,辛,壬,癸
  • 十二支:子,丑,寅,卯,辰,巳,午,未,申,酉,戌,亥

の組み合わせから成り、その組み合わせは60通りあります。よって、60年で一巡し、「還暦」となります。60歳を迎えた人を還暦としてお祝いしますが、「還」の字には、かえる、ひきかえす、もどる、という意味があります。還暦とは、「暦=干支」が一周して元にもどるという意味なのです。

 「十干」はなじみのない方も多いと思いますが、もとは1から10までを数えるための言葉です。「甲」「乙」は覚書や契約書などでよく目にしますね。「十二支」はご存じの通り、その年を12種類の動物で表す総称です。十干や十二支それぞれの意味や、組み合わせて十干十二支となった時の意味などを調べてみると面白いですよ!

和暦(年)西暦(年)干支訓読み(音読み)
1昭和591984甲子きのえね(こうし)
2昭和601985乙丑きのとうし(いっちゅう)
3昭和611986丙寅ひのえとら(へいいん)
4昭和621987丁卯ひのとう(ていぼう)
5昭和631988戊辰つちのえたつ(ぼしん)
6平成元1989己巳つちのとみ(きし)
7平成21990庚午かのえうま(こうご)
8平成31991辛未かのとひつじ(しんび)
9平成41992壬申みずのえさる(じんしん)
10平成51993癸酉みずのととり(きゆう)
11平成61994甲戌きのえいぬ(こうじゅつ)
12平成71995乙亥きのとい(いつがい)
13平成81996丙子ひのえね(へいし)
14平成91997丁丑ひのとうし(ていちゅう)
15平成101998戊寅つちのえとら(ぼいん)
16平成111999己卯つちのとう(きぼう)
17平成122000庚辰かのえたつ(こうしん)
18平成132001辛巳かのとみ(しんし)
19平成142002壬午みずのえうま(じんご)
20平成152003癸未みずのとひつじ(きび)
21平成162004甲申きのえさる(こうしん)
22平成172005乙酉きのととり(いつゆう)
23平成182006丙戌ひのえいぬ(へいじゅつ)
24平成192007丁亥ひのとい(ていがい)
25平成202008戊子つちのえね(ぼし)
26平成212009己丑つちのとうし(きちゅう)
27平成222010庚寅かのえとら(こういん)
28平成232011辛卯かのとう(しんぼう)
29平成242012壬辰みずのえたつ(じんしん)
30平成252013癸巳みずのとみ(きし)
31平成262014甲午きのえうま(こうご)
32平成272015乙未きのとひつじ(いつび)
33平成282016丙申ひのえさる(へいしん)
34平成292017丁酉ひのととり(ていゆう)
35平成302018戊戌つちのえいぬ(ぼじゅつ)
36平成31令和元2019己亥つちのとい(きがい)
37令和22020庚子かのえね(こうし)
38令和32021辛丑かのとうし(しんちゅう)
39令和42022壬寅みずのえとら(じんいん)
40令和52023癸卯みずのとう(きぼう)
41令和62024甲辰きのえたつ(こうしん)
42令和72025乙巳きのとみ(いつし)
43令和82026丙午ひのえうま(へいご)
44令和92027丁未ひのとひつじ(ていび)
45令和102028戊申つちのえさる(ぼしん)
46令和112029己酉つちのととり(きゆう)
47令和122030庚戌かのえいぬ(こうじゅつ)
48令和132031辛亥かのとい(しんがい)
49令和142032壬子みずのえね(じんし)
50令和152033癸丑みずのとうし(きちゅう)
51令和162034甲寅きのえとら(こういん)
52令和172035乙卯きのとう(いつぼう)
53令和182036丙辰ひのえたつ(へいしん)
54令和192037丁巳ひのとみ(ていし)
55令和202038戊午つちのえうま(ぼご)
56令和212039己未つちのとひつじ(きび)
57令和222040庚申かのえさる(こうしん)
58令和232041辛酉かのととり(しんゆう)
59令和242042壬戌みずのえいぬ(じんじゅつ)
60令和252043癸亥みずのとい(きがい)

十干十二支一覧表

 ちなみに一番最初は甲と子の組み合わせで「きのえね」です。高校野球や阪神タイガースの本拠地で有名な甲子園球場はこの「きのえね」の年(大正13年、1924年)につくられました。

阪神甲子園球場

2023年は「癸卯(みずのとう)」

 「癸」は大地に潤いをもたらす静かで温かな恵みの雨や露を表し、十干の10番目、最後に割り当てられています。つまり癸は、生命や物事の終わりと始まりを意味し、まだ大きなエネルギーとはなっていないものの、次への準備ができている、芽生えが始まりつつある、ということになります。

 よって「癸卯」は、「卯」のもつ意味合いとも相まって、厳しい冬が終わり温かな春の兆しを感じることができる年、停滞していた状態から少しずつ新しい動きが出始める年、と捉えることができそうです。

すべての人にとって、2023年が実り多き一年となりますよう祈念します。

 ブリタニカ・スクールエディションには、先にご紹介した十干十二支の他、例えば正月ひな祭お盆十五夜春の七草秋の七草葵祭年中行事とくらしなど、季節や日本の文化、お祭り、伝統行事にかかわる項目が多数収録されています。

 関連用語や事柄を効率よく読むことができ、児童、生徒がそれぞれの目的に合わせて掘り下げることができるため、調べ学習や個に応じた支援に役立ちます。


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