政治都市2度目のオリンピック。“北京”から中国を知ろう!

 

第24回オリンピック冬季競技大会が、2022年2月4日から2月20日までの17日間、中国の北京で開催されます。2008年夏季オリンピックに続く大会で、夏冬2大会の開催を経験した初の都市として、北京は近代オリンピック史にその名を刻むことになるでしょう。

冬場の月平均気温が氷点下と、非常に寒い北京ですが、積雪はほとんど見られないため、スキーやそり、バイアスロンなどの雪上競技は、北京中心部から北西約75kmの延慶(北京市延慶区)、さらに100km以上北西の張家口(河北省張家口市)にて実施されます。

 1990年代半ば以降、北京は国が掲げる社会主義市場経済の名のもと、上海広州など他の主要都市同様、目を見張らんばかりのスピードで社会インフラを整備し、企業や商業施設を積極的に誘致し、新たな住宅地を開発・拡張してきました。

しかし、世界に名だたる高級ホテルが林立しようと、高級ブランドが入居するショッピングモールが華々しく営業しようと、世界のスター建築家たちの奇抜な作品の発表の場となろうと、やはり北京を北京たらしめるものは、その豊富な歴史的遺産と歴史的イメージです。これは上海が、その都市イメージを、100年前のモダンな西洋建築群「外灘」(中国語読みで「ワイタン」。英語名「バンドBund」)から、黄埔江対岸の浦東地区高層ビル群のスカイラインに変えていったことと対照をなしているといえましょう。

それもそのはず、貿易・産業都市として発展を遂げてきた上海とは異なり、首都として、のべ800年間政治や軍事を司ってきた北京には、延慶など市域北部に連なる「万里の長城」、市街地に広がる「紫禁城(故宮)」「頤和園」「天壇」および「京杭大運河」、南西郊外の「周口店洞穴」、北西郊外の「明・清代の皇帝陵墓(明十三陵など)」の7カ所の世界遺産のほかに、数多くの史跡が点在しています。

万里の長城

また、世界遺産に登録された文化遺産の多くは、世界規模の敷地面積をもつ居城や庭園、陵墓であったり、気の遠くなるほどの総延長をもつ築造物の一部であったりします。確かに、北京観光をするなら万里の長城と紫禁城ははずせないですよね。

とはいえ、今の北京を(中国を)最も雄弁に物語るものといえば、なんといっても、毛沢東の巨大肖像画が掲げられている紫禁城の南端の城門、天安門でしょう。

頤和園

1949年10月1日に中華人民共和国の成立が宣言された歴史的スポットであり、現役の政治の舞台の一つでもあります。国力を内外に誇示する軍事パレードなどを、国の最高指導層が嬉々と見おろす場所もこの城門の楼上であり、また血なまぐさい記憶を残す文化大革命や2度の天安門事件の舞台となった天安門広場を一望できるのも、ここです。

万里の長城や紫禁城、天安門広場などに身を置くと、その偉大さに舌を巻く一方で、時の権力者、すなわち支配王朝の最高権力者(皇帝)たちが抱いた際限のない夢や野心をひしひしと感じずにはいられません。そして、その個人的な不安を、習近平が打ち出した新たなシルクロード構想「一帯一路」や、国際社会が懸念する中国の覇権主義的な動きと、結び付けて考える人も少なくないと思われます。

あるガイドブックの見出しに、「北京に着いたら~北京中心部の大きさを把握する」(『地球の歩き方 2019~20』、学研プラス)とありました。中国が大きいことも、北京の市域が大きいことも重々承知しているけれど、観光資源や施設がひしめいている北京中心部さえも桁違いに大きいことを実感しておこう、ということでしょう。

きたる北京冬季五輪は、2021年の東京五輪同様、新型コロナウイルスの感染拡大によりさまざまな規制のなかで挙行されます。それでも、私たちはテレビなどで平和の祭典を楽しみながら、この途方もなく大きく、やや強面な政治都市「北京」の包容力や懐の深さなるものを期待し、感じとってみたいと思います。


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