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【調べ学習・探究学習】いまとは違う? 万葉集に詠まれたアジサイの姿って?

  • ブリタニカ・ジャパン

 

今年ももう6月。梅雨の季節が始まりましたね。この時期を象徴する植物といえばアジサイですが、「アジサイ」と聞いて、みなさんはどのような花の形を想像しますか? 毬のような丸い形しか思い浮かばなかった人は、アジサイという身近な植物のことをよく知らないかもしれません。アジサイは、『万葉集』にも詠まれているほど、古くからある日本の花ですが、現在にいたるまでにその姿を大きく変えています。奈良時代の歌人、大伴家持が歌に詠んだアジサイとは、どのような花だったのでしょうか?

私たちが現在よく目にしているのは、「ホンアジサイ」または「セイヨウアジサイ」という、丸い形のアジサイです。「ホンアジサイ」は原種であるアジサイを日本で品種改良したもの、「セイヨウアジサイ」はその「ホンアジサイ」が海を渡り、ヨーロッパアメリカ合衆国で品種改良されて日本に逆輸入されたものです。「セイヨウアジサイ」という名前がついていますが、もとは日本生まれの植物なのです。

では、原種となったおおもとのアジサイは、どのような形をしているのでしょうか?

園芸品種である「ホンアジサイ」のもとになっているのは、「ガクアジサイ」というアジサイです。これは、古くから日本に自生しているアジサイです。

アジサイは花のつくりが少し変わっていて、2種類の花をもっています。「ホンアジサイ」や「セイヨウアジサイ」は,小さな花が集まって丸いかたまりになって咲きますが、これが1つ目の花である「装飾花」です。装飾花は「がく」が変化したもので、これが4~5枚の花びらのように見えます。めしべが退化しているので,装飾花には実がつきません。装飾花の陰に隠れるようにして存在しているのが、めしべやおしべのそろった「両性花」です。これが2つ目の花です。数が少なく,よく探さないと見つからないくらい目立たないものですが,両性花には実がなり,ごく小さな種ができることもあります。

アジサイの両性花

さて、「ガクアジサイ」の話にもどります。「ガクアジサイ」は「ホンアジサイ」や「セイヨウアジサイ」とは花のようすが違います。「ガクアジサイ」の花は,中心に両性花がいくつも集まり,そのまわりに大きくて目立つ装飾花が絵の額ぶちのように咲きます。

はるか遠い昔に家持が見ていたアジサイは、この「ガクアジサイ」だと考えられています。文字で説明を聞いても、花の姿がうまくイメージできませんね。ぜひ、「ブリタニカ・スクールエディション」で「ガクアジサイ」の写真を調べてみてください。丸いアジサイしか知らなかった人には、きっと新鮮に感じられますよ。

小中学校の授業を支援するオンライン・データベース「ブリタニカ・スクールエディション」では、「アジサイ」のほかにも、季節を象徴するいろいろな項目が収録されています。写真や動画も豊富です。小学校1・2年生での国語科や生活科の授業の中で活用いただくことを想定した「きせつのいろいろ」というメニューもありますので、季節の移り変わりを感じ取りながら、ぜひいろいろな項目を引いて、新しい発見をしてみてください。


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ブリタニカ・スクールエディションは、小学校、中学校など教育機関で利用されているオンラインのデジタル教材です。