協働学習とは?メリット・注意点やICTを活用した授業例を解説

  • ブリタニカ・ジャパン

 

協働学習とは、クラスごと・グループごとに与えた1つのテーマに生徒同士で向き合い、協力しながら課題を解決する学習法です。文部科学省によって推進されており、近年急速に普及しているICT教育との相性も良いことから、協働学習を積極的に取り入れる教育機関が増加しています。

それでは、協働学習にはどのようなメリットがあり、どんな注意点に留意すべきなのでしょうか。本記事では、ICTを活用した協働学習にも触れながら、先生が抱えがちなあらゆる疑問を解消できるように協働学習を解説していきます。

協働学習とは

協働学習とは、生徒同士が話し合って研究を重ねる中で結論を導き出し、与えられた課題を解決していく学習法です。生徒が協力しながら1つのテーマと向き合うので、協調性を養いながら成功体験を重ねることができます。協働学習は文部科学省によって推進されており、今後の教育に不可欠となっています。

協働学習が注目されている背景

協働学習が注目されている背景には、政府が推進する「アクティブラーニング」があります。多くの教育現場でICT環境が整ったことも、協働学習が浸透している理由の1つです。

ここからは、それぞれの項目を設けて、分かりやすく解説します。

政府が推進する「アクティブラーニング」の一環

政府(文部科学省)では、学習者(生徒)が積極的・能動的に授業を受けられる「アクティブラーニング」を推進しています。アクティブラーニングが浸透することで、生徒にとって主体的・対話的で深い学びを実現させることが可能です。

『新しい学習指導要領の考え方』に記載されている、アクティブラーニングの視点からの授業改善イメージを引用します。

【主体的な学び】

学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。

【対話的な学び】

子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。

【深い学び】

習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか。

引用元:文部科学省 新しい学習指導要領の考え方(P22)

ICT環境の整備により促進された

従来の教育では、協働学習を実施するためには同じ場所に多くの生徒を集めて議論させる必要がありました。しかしICT環境の整備により、そのような協働学習の欠点はなくなりました。オンライン授業を取り入れることにより、それぞれが離れた場所にいても協働学習を進められるようになったのです。

ICT教材との相性が良いことも、協働学習が促進された理由の1つといえます。生徒としては従来の教材よりも資料が見やすく、データの共有をしやすくなったことがメリットです。先生側では、生徒の学習状況を可視化したり、学習の模様を振り返ったりしやすくなったことで、協働学習の質を高められます。

協働学習を行う目的・メリット

協働学習を行う目的とメリットを、5つの項目に分けて解説します。協働学習では、従来の受動的な授業では養うことが難しかった生徒の能力を鍛えることが可能です。多様性が求められる今後の社会を生き抜くうえで重要な要素が多いため、協働学習に注力する価値は十分にあります。

学習意欲の向上につながる

一人で教科書を読んだり、講義を受けたりすることを退屈に感じる生徒でも、主体性を持って学べる協働学習には興味を持ちやすくなるでしょう。従来の型にはまったような学習から抜け出すことにより、学習意欲の向上につながります。

問題解決能力を養える

協働学習はグループタスクであり、あらゆる人の意見を取り入れながら課題の解決にあたります。課題解決のために積極的にアイデアを提供したり、自分では思いつかなかった他人のアイデアに触れたりすることで、問題解決能力を養うことも可能です。

対人能力(コミュニケーション能力)を養える

多くの仲間と意見交換をしながら課題をクリアするのが協働学習の基本です。必然的に多くの人と議論を交わすことになるため、対人能力(コミュニケーション能力)が養われます。

発想力が鍛えられる

多くの人が出す独創的なアイデアと意見に触れる中で、発想力が鍛えられます。1つのユニークなアイデアが議論を活性化させたり、誰かを刺激したりすることも協働学習の魅力です。

自信の獲得につながる

内向的な性格の持ち主は、自分から大勢の人に向けて意見を発信することが困難です。しかしグループの一員となることで、自分の意見をグループの意見として発信できます。こうして自分の意見やアイデアが認められることで、自信の獲得や自己肯定感の向上にもつながるでしょう。

協働学習を行う際の注意点

協働学習を行うときには、これからご紹介する3つの注意点に留意しましょう。先生と生徒の力量に応じて、授業の質にばらつきが生じやすいことが協働学習の欠点です。これらの難点を埋めることを意識しながら協働学習を実施しましょう。

ICT環境を整備する必要がある

協働学習にはタブレットやインターネットといったICT環境があると便利です。しかし、これらの環境を整備するためには時間とコストがかかりやすいです。補助金の活用も検討しながら、効率的にICT環境を整備しましょう。

生徒の能力差を把握し、カバーする必要がある

グループの中で自分の意見を積極的に発信できる生徒と、意見を発信できない生徒の2タイプに分かれてしまいます。学習機会や経験値に生徒間の差を作らないようにするためには、先生が生徒の個性や能力差を把握し、全員が均等に意見を出せるようにカバーする必要があります。

先生のICT活用指導力が授業の質を左右する

ICT教材を上手に活用できるかどうかは、先生の能力によって異なるため、結果的に先生の指導力が協働学習の質を左右します。指導の質を高めるための知識を身につけることも重要ですが、使いやすいICT教材を利用することも検討すると良いでしょう。

ICTを活用した協働学習の具体例

協働学習にはICTを活用すると効果的であるとご紹介してきました。それでは、ICTを活用すると具体的にどのような協働学習が可能になるのでしょうか。ここからは、文部科学省が発表している『教育の情報化に関する手引(令和元年12月)』をもとに説明します。

発表・話し合い

大型画面やタブレット端末を使うことで、席順に左右されることなく生徒全員が情報を見やすくなります。テーマや議論の中身が分かりやすくなることで、話し合いを活性化させやすくなるでしょう。また、テキストのみならず、動画を使った研究や発表も可能になります。

協働での意見整理

タブレットを使ったメッセージのやり取りにより、グループ内で生まれた複数の意見を共有しながら意見の整理ができます。デジタル教科書への書き込みを共有することで互いの考え方を視覚化でき、グループ内の議論を深める効果を期待できるでしょう。

協働制作

協働制作では、個々が分担した役割を担いやすくなります。例えば文章を作る係、画像を見つける係、動画を編集する係などに割り振り、互いの進捗を確認しながら協働制作を進めることが可能です。制作状況をリアルタイムで共有しながら、表現技法についても話し合えるため、豊かな表現力が身につきます。

学校の壁を超えた学習

インターネットを活用することで、国内外に住む外国人を含めた他校の人々との交流を持ち、学校の壁を超えた学習ができます。テレビ会議では各方面の専門家との交流を図るチャンスもあるため、生徒にとって大きな刺激になるでしょう。

まとめ

協働学習とは、生徒自らが課題と向き合い、グループ単位で話し合って解決策を導き出す学習法です。政府が推進するアクティブラーニングの一環でもあり、ICT環境の整備完了に伴って推進されています。協働学習を取り入れることによって、学習意欲の向上や発想力・自信・対人能力などの強化を期待できます。

ブリタニカでは、協働学習に適したICT教材をご提供中です。授業にそのまま使え、論拠となる資料集が、話し合いの活性化を促します。著作権処理された動画・写真・イラストを含む、約16万の百科事典項目やコンテンツをご活用いただき、質の高い協働学習の実現にお役立てください。