プラスチックのゆくえ

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レジ袋有料化の効果

 2020年7月より、プラスチックごみの削減等による環境負荷の軽減を目的として、レジ袋が有料になってしばらくたちます。皆さんの周りでも、エコバッグを持参したり、少量ならば手持ちのカバンに入れたりするなど、レジ袋を購入しない人がかなり多くなったのではないでしょうか。専用の「マイカゴ」が販売されているスーパーマーケットもあります。昨年のコンビニエンスストア各社の調査によると、レジ袋の辞退率は75%を超えています(ちなみに有料化が義務付けられる前のレジ袋辞退率は25%程度)。そもそも日本においてプラスチックごみ全体に占めるレジ袋の割合は2%程度と言われており、総量から見ればごくわずかですが、これまでプラスチックに依存してきた消費者のライフスタイルを変容させ、人々の意識を「プラスチック問題」へ向けさせたということに大きな価値があると言えるでしょう。

プラスチック問題を解決するには

 世界では、年々プラスチックの生産量が増加しており、2020年には年間3億6,700万トンのプラスチックが生産されました。世界のプラスチック生産量はこの50年間で約20倍にも及んでいます。なんと2050年には海洋中に投棄されたプラスチックが世界中の魚の重量を超えるという試算もあり、深刻化する環境汚染への対応は最重要課題の一つであることは間違いありません。そこで、環境に負荷をかけない「資源循環」という考え方に世界各国の注目が集まっています。日本でも、本年4月1日に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。この法律は、設計・製造から廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクル全体を通じて、関連する全ての事業者、自治体、消費者の相互連携により資源の循環(再生可能資源への代替)の促進を図ることを目的としています。

自然に還るプラスチックとは

 「バイオマスプラスチック」「生分解性プラスチック」といった言葉を耳にしたことはありますか?どちらのプラスチックも、先に述べた「資源循環」に有効で、二つを総称して「バイオプラスチック」と呼ばれます。

バイオマスプラスチック…植物油脂トウモロコシ、ウッドチップ、食品廃棄物など、植物や動物に由来するバイオマスを原料とするプラスチック。石油を原料としないため、枯渇が懸念される化石燃料の消費削減や、生産時に排出される二酸化炭素を抑制することが可能。

生分解性プラスチック……自然界に存在する微生物の働きにより、二酸化炭素や水などに分解されるプラスチック。完全に分解されれば、環境への負荷がかからないため、資源の循環につながる。

バイオマス由来で生分解性プラスチックである「ポリ乳酸」:経産省STEAMライブラリー 未来の教室『生分解性プラスチック【日本語版】』より

 ところが、これらの新しいプラスチックがあれば環境問題は解決かというとそこまで単純ではなく、例えばバイオマスプラスチックには、生分解性(微生物の働きで完全に分解され自然環境に影響を与えない状態になる性質)があるものとないものがあり、生分解性プラスチックには、石油由来のものも、バイオマス由来と石油由来の材料が混合されているものもあります。

 また、生分解性プラスチックは、分解をつかさどる微生物の種類や量が、コンポスト、通常の土壌、海洋などの生息環境によって異なります。よって、分解されやすいプラスチックの種類や分解されるまでの時間においてさまざまなものがあります。地球規模の問題として大きく取り上げられている海洋プラスチックごみ問題を解決するには、海洋でも短時間で分解される生分解性プラスチックが適していると言えますが、コストや開発の難しさといった問題もあり、プラスチックが海洋に流出しないよう確実に回収できるシステムの構築や、用途や回収性に応じて適切なプラスチックを選択するなどの取り組みが求められます。

 ブリタニカ・ジャパンでは「生分解性プラスチック」というSTEAM教育のコンテンツを、経済産業省の「STEAMライブラリー」にて提供しています。このテーマでは、プラスチックの素材自体を変える科学的な取り組みとして注目が集まるバイオマスプラスチック、生分解性プラスチックについて調査し、ただ優れている点を見出すだけでなく、消費者生産者などそれぞれのステークホルダーの関わりや視点についても学び、様々な要件の中から人々のニーズにどう応えることができるかを検討していきます。

1コマ目バイオマスプラスチックとは何か?
バイオマスプラスチック(生物由来の資源を原料にしたプラスチック)がどのようなものかを学ぶ。
2コマ目生分解性プラスチックとは?
生分解性プラスチックをどう定義するか?生分解性プラスチックの分解条件を調査する。
3コマ目プラスチックにはどのようなニーズがあるか?
異なるニーズがあることを学び、立場の違いによってどのようなニーズの違いがあるかを議論する。
4コマ目生分解性プラスチックはどのようなニーズに応えるか?
グループでチームを組み、特定の生分解性プラスチックが人々のどのようなニーズに応えるかを調査する。
5コマ目自分たちのプレゼンテーションに魅力はあるか?
テーマ全体を通じた学びを振り返る。
STEAMライブラリー 未来の教室「生分解性プラスチック」

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