ICTで特別支援教育をより手厚いものに。活用方法とポイントを紹介

 

ICT教育は様々な現場で幅広く活用できます。動画や音声、イラストを使った授業により健常者の学習意欲や学習効率を高められることに加えて、特別支援教育ではさらに効果的な授業を実現させられるでしょう。

この記事では、特別支援教育におけるICT教育の活用方法にフォーカスを当てていきます。シチュエーションに応じたICTの活用方法や、活用する際のポイントを解説するので、障がいのある生徒にICT教育はどんなメリットをもたらすのか見ていきましょう。

ICT教育とは

ICT教育とは、パソコンやタブレット端末を使った教育手法のことです。「GIGAスクール構想」によってICT機器が急速に普及し、2024年には全国の小中学校で本格的に活用される見込みとなっています。ICT教育は健常者の教育のみならず、障がいを持つ生徒の教育にも有効です。

特別支援教育におけるICTの必要性

身体の動きに関する障がいから、発達・コミュニケーションに関する障がいまで、状態や特性は生徒によって様々です。ICT教育の目的の1つに「個別最適化学習」があります。特にこの点が特別支援教育に適しています。

たとえば第三者から見ると読みにくい文字を書く特徴がある生徒の場合、パソコンやタブレットで入力すれば、先生やクラスメイトが読みやすい文字を書けるようになるでしょう。聴覚に障がいのある生徒にも、イラストや動画を使いながら、スムーズに学習の意図を伝えやすくなります。

特別支援教育におけるICTの活用方法

視覚や聴覚をはじめ、障がいの種類や特性は生徒によって様々です。ここからは6つのパートに分けて、それぞれどのような機能で個別最適化学習を実現できるのか解説します。生徒にとってどのようなメリットが生まれるのか、順番に詳しく見ていきましょう。

視覚障がいを持つ生徒へのICT活用

生徒が見やすい文字の大きさやフォントを活用したり、背景色を白から黒に転換したりすることで、生徒が文字を見やすくなるような工夫が可能です。デジタル教科書以外の教材を活用する場合は、端末のカメラで写真や動画を撮影し、拡大・スロー再生といった機能を使って授業を進められます。

紙のテキストを読むのが難しい生徒に対しては、音声読み上げソフトを使ったアプローチが可能です。これらの方法で授業を実践することにより、今までは関心をもち得なかった物事にも注目できるようになり、学習意欲を高められます。

聴覚障がいを持つ生徒へのICT活用

従来は文字情報ディスプレイを活用した授業が一般的でした。しかし、表示されている内容が教師から見えづらいという難点もありました。ICT教育ではインターネットを活用した授業が可能になり、手元のタブレット端末等で生徒との情報を共有できるため、よりスムーズに授業を進められます。

動画を見ながら学習できることもICT教育の魅力です。たとえば漢字の書き順や、手話を動画で伝えることにより、聴覚によるハンディキャップを最小限にとどめられるでしょう。また、タブレットに発音を聞き取らせることもできるため、正しい発音がしやすくなるような発生訓練も可能になります。

知的障がいを持つ生徒へのICT活用

思っていることを伝えにくい生徒の場合、パソコンやタブレットにメッセージを書き込んでもらうことで、自分が思っていることなどを円滑に伝えられます。言葉を理解できているものの音声化することが苦手な生徒や、耳で聞いた言葉を理解するのが難しい生徒にとって、ICT教育は大きな手助けになるでしょう。

また、テレビ電話を使った授業ができることもメリットです。従来の電話を使った学習の場合、教師は離れた場所から指導せざるを得ず、生徒の様子を確認しにくいことが欠点でした。しかしICT教育にテレビ電話を取り入れると、会話中の様子を確認でき、さらに情報を共有しやすいというメリットも生まれます。

発達に関する障がいを持つ生徒へのICT活用

発達に関する障がいは、読む・書く・意思を伝える・話を聞くなど、生徒によって異なる様々な特性が学習の難易度を高めていました。ICT活用により、教科書を読むことが難しい生徒は音声を使った授業ができ、書くことが難しい生徒はキーボード入力や音声入力を活用した授業ができるようになります。

自分の気持ちを表現するのが難しい生徒の場合、イラストを用いたカードや音声を見せることで意思疎通が容易になるでしょう。また、言葉の説明を理解するのが難しい生徒には、よりわかりやすい映像と文字を使った授業でアプローチできます。

身体の動きに関する障がいを持つ生徒へのICT活用

身体の動きに障がいがある生徒への教育として課題になりやすいのが、体育のような身体を動かす授業です。自分自身が参加できないという都合上、授業への興味を失われてしまいやすいことが難点です。そこで、動画を授業に取り入れると、関心や興味を引きやすくなります。

手元の端末や大型ディスプレイを使った授業が可能になることも、身体の動きに関する障がいのある生徒にとってのメリットです。できる限り楽な姿勢を保った状態で授業に臨めるため、身体の痛みによる苦痛を感じにくくなり、授業と向き合う際の集中力も増すでしょう。

病気による様々な制約がある生徒へのICT活用

病気によって長期間の入院や治療が必要になった生徒は、同学年の生徒と比べて学習が遅れやすく、これが進級・進学の妨げにもなります。ICTを活用すると、生徒一人ひとりの学習に関する進捗状況を把握できるため、各々に合った段階・レベルの指導をしやすくなることが最大のメリットです。

直接的な体験学習が困難な生徒には、テレビ電話を活用して多くの人とコミュニケーションを取らせることで、間接的な体験を可能にします。VR技術やアプリを活用できることもICT教育の特徴なので、病気による制約がある生徒でも疑似体験が容易になるでしょう。

特別支援教育におけるICT活用のポイント

特別支援教育におけるICT活用のポイントは以下の2点です。

<ICT活用のポイント>
・ICTを活用した特別支援教育の研究が必要
・生徒に適したデジタル教科書・ICT教材を活用する

それぞれを詳しく解説します。

ICTを活用した特別支援教育の研究が必要

ICTの活用はまだ始まったばかりです。特に個別の対応を求められる特別支援教育においては、先生が授業に対する研究をすることも大切なポイントといえるでしょう。ICT教育の研修等も行われているため、こういった機会を活用しながらICT活用に備えることもおすすめです。

生徒に適したデジタル教科書・ICT教材を活用する

障がいの種類や特性は生徒によって大きく異なります。個別最適化学習を円滑に行うためには、生徒に適したデジタル教科書・ICT教材の活用が必須です。多くの生徒・授業に対応できる教材を活用することが、効果的な授業を進めるポイントになります。

まとめ

ICT教育は、様々な障がいを持つ生徒にとって大きな解決策となります。ICT活用によって視覚・聴覚への障がいから知的障がい、発達障がい、身体の動きに関する障がいのある生徒から病気の制約を持つ生徒まで、たくさんの生徒に最適な授業を行うことが可能になるでしょう。

ブリタニカ・ジャパンでは、百科事典や図鑑を250年にわたって刊行してきたノウハウを活かし、様々な障がいを持つ生徒が使いやすいICT教材を提供しています。生徒の可能性を広げ、教員が働きやすい環境を作るためにも、ぜひブリタニカのICT教材の活用をご検討ください。