私は主として米国で仕事をしているが、海外で催される学会などに出席する機会も少なくない。その多くは現代世界をどう理解したらよいのか、というテーマに関するもので、私は出かける前の準備をするために、ブリタニカ年鑑を常に活用している。世界各国についての詳細な情報や最近の動向に関して信頼のおけるデータを提供してくれるのみならず、各界の専門家による分かりやすい解説記事も非常に参考になる。今の世界は刻々とグローバル化、トランスナショナル化の方向へ向かって動いている。世界中の人たちと各種の情報や知識を共有することはますます重要になっていくであろう。年鑑に盛られたデータやテーマはその意味でも日本と世界とをつなぐ重要な役割をはたしている。
ハーバード大学教授・歴史家 入江 昭
2012年版ブリタニカ国際年鑑
特別寄稿
◎未曾有の天災を経て強まる友好関係
馮寄台(台北駐日経済文化代表処 代表)
2011年、日本は歴史的な規模の天災とそれに伴う惨事に見舞われた。その直後から強く篤い支援の声を送り続けた台湾。政治的利害関係だけでは説明しきれない台湾と日本の特別な友好関係を綴る。
◎人間の弱さと強さについて 震災後の荒野で見えたもの
池澤夏樹(小説家・詩人)
地震と津波と原発の崩壊─誰も想像しなかった未曽有の惨事。その断片を拾い集めて自身のものとするため、地理的人間である作家は現地を訪ね、あらためて日本の姿を、そして人間の倫理を思う。
特別リポート
◎東日本大震災─被害状況と支援活動
鵜川元雄
約2万人の命を奪い、被災地に深い爪あとを残した巨大地震と津波。原発事故の影響を含め、多岐にわたる被害状況を概括する。
◎超巨大地震の発生メカニズム
古本宗充
発生間隔の長い超巨大地震のしくみの解明がまたれるが、それを想定した減災・防災の取り組みはいますぐ始める必要がある。
◎東北沿岸を襲った超巨大津波
西村裕一
津波の理解は史実や地層の研究を重ねて深まる。しかし津波の防災に役立つのは、危険を察知して逃げる個々人の行動力である。
◎未曽有の原子力発電所事故
吉岡 斉
2011年3月11日の大震災は、日本が頼り切っていた電力源を破壊し、危機管理体制の不備や電力事業の問題点までを暴き出した。
◎ハーグ条約批准に向けて
棚村政行
国際結婚が増えるにつれて、国際的な子の連れ去りが問題となる事例も増加。ハーグ条約の批准に向け日本政府も動き出した。
◎シェールガス採掘 水圧破砕法の是非
ロバート・カーリー
開発か環境か?水道の蛇口から炎が上がる映画のシーンで不安視されるようになったガス抽出法をめぐり激論が交わされた。
◎ドイツにおけるO-104集団感染
カラ・ロジャーズ
2011年、感染者の3分の1が溶血性尿毒症症候群を併発する腸管出血性大腸菌感染症が集団発生。ヨーロッパの大事件となった。
◎南極の恐竜
ピーター・J.マコビッキー
氷と過酷な気候に制約される南極の恐竜研究。2011年、恐竜の進化をめぐって古生物学の発展に寄与する新発見が報告された。
◎スポーツ脳損傷 研究成果と現状
クリストファー・ノインスキー
これまでスポーツの現場で脳しんとうは軽視されすぎていた。選手たちの脳を守るため、早期発見と予防が喫緊の課題である。
◎ヤーン・ボミング 町の毛糸アート
クリスタン・M.ハンソン
毛糸の編物で町中を覆いつくせ─戦車から銅像、樹木まで、すべてを包む、ゲリラ的なストリート・アートが広がっている。
◎アラブの春─希望と混乱の革命
マーク・アーモンド
2010年12月、1人のチュニジア人露天商の焼身自殺をきっかけに、アラブを席捲し、独裁政権を次々と倒した革命の実像とは。
◎世界経済再生への遠い道のり
ジョエル・ヘイブマン
ギリシアをはじめ、EU諸国の財政危機でゆれた2011年。景気回復への突破口を求め、各国の財政・金融政策への模索が続く。
◎アメリカ人口調査
ウィリアム・H.フレイ
2010年実施のアメリカの人口調査の結果は、21世紀がアメリカにとってまさに変化の世紀であることを予兆するものであった。
◎南北戦争─兵士たちの戦う理由
ジェームズ・M.マクファーソン
1861年の南北戦争勃発から150年。犠牲を顧みず、兵士たちが最後まで果敢に戦い抜いた理由とはなんだったんだろうか。
写真特集
◎東日本大震災
◎FIFA女子ワールドカップドイツ大会
◎世界遺産 小笠原諸島、平泉
スポットライト
◎トコジラミの逆襲
◎スペースシャトル退役
◎急増する営利大学
◎日本女子サッカー、世界一への道のり
◎クリケット・ワールドカップ
◎格付会社の功罪
◎「地デジ化」総決算
◎ラグビー・ワールドカップ
◎イギリス電話盗聴スキャンダル
◎松下政経塾
◎ノルウェー連続テロ事件
◎南スーダンが直面する諸問題
一般項目
政治、経済、産業、文化、芸術、化学、生活、スポーツなど…各分野の最新動向をあますところなく記録。
国際百科年表
2011年に世界で起こったおもな出来事を暦日で記述。
人間の記録
2011年に各界で活躍した人物をクローズアップ。
ノーベル賞受賞者
平和、文学、経済学、化学、物理学、生理学・医学…全6部門各受賞者の横顔と業績を紹介。
物故録
2011年に没した世界の著名人120人の業績を回顧。
世界の国々・地域
およそ200の世界の国と地域の現勢と動向を統計資料を添えて記述。
日本の統計
入手可能な最新の国内基幹統計データを豊富に掲載。
国際比較統計表
世界の現勢を最新の統計データから読む、ブリタニカ独自のユニークな資料集。